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不動産価格への影響が最も大きい交通利便性の要注意ポイント

不動産価格において、交通利便性(都心への接近性及びアクセスの良さ)が与える影響には絶大なものがあります。

国土交通省が一般の土地の取引価格の指標とするべく、不動産鑑定士に算定させている公示価格に「東京圏の沿線別駅周辺商業地の公示価格例」という分かりやすい図があるのでご紹介します。
これを見ると、「銀座 57,200,000円/m2」「新宿 36,000,000円/m2」と都心部では、わずか1メートル四方の土地でマンションが買えそうな価格となっているのに対し、「吉祥寺 6,330,000円/m2」「自由が丘 4,870,000円/m2」と人気の街でも都心部から少し離れるとガクンと価格が下がります。
※吉祥寺や自由が丘が安いと言いたい訳ではなく、あくまで比較としてであることをご了承ください。

では、都心のど真ん中や都心にできるだけ近い方がいいのかというと、それだけで住む場所を決めるのは早計です。この件は、以前書いた記事「住居は駅に近ければ近い方がいいのか?」で指摘しました。都心部うんぬんではなく、駅から近ければいいのか、という話ですが、内容はここでの話にも通じます。都心のど真ん中や都心にいくら近くても(利便性が高くても)、「生活環境」や「災害リスク」の観点から住むのには適さない土地があるということです。

自宅を購入する際に、一番に優先すべきなのは「家族の命と財産が守れるか」ということです。利便性は、その次に考えるべきことです。そのことを念頭に置いていただいた上で、交通利便性について述べたいと思います。

都心からの時間距離

上述したように、都心部の不動産価格が一番高く、都心部から離れるに従い、価格は下がっていきます。これは説明するまでもないですが、「時間価値」と「総合的な利便性」によるものでしょう。

時間価値
運動神経や芸術センス等、人にはいろいろ個性がありますが、“時間”だけは全人類平等に同じだけ使えます。この大変貴重な“時間”を、通勤電車で使いたくないと思う方が増えていると感じています。

職住近接を求めて都心部に人口が流入しているのも、無駄な時間を減らしたいからという面もあるでしょう。

総合的な利便性
通勤だけでなく、買い物や遊びに行く、飲みに行くという点でも都心部に近い方が便利です。終電も遅くまでありますし、終電を逃してもタクシーでさほど大きな運賃を払わないで済みます。

子供が思いっきり身体を動かして遊べるような場所は少ないですが、様々な刺激的な施設があります。また、東京の路線図を見ても、都心部から放射線状に線路が延びているので、都心部の近くに住んでいれば、どこに行くにも便利です。

また、職住近接については、通勤時間の短縮という理由以外にも、東日本大震災以降、中学・高校や大学に通う子供が家まで歩いて帰れるかが心配だ、という声が高まりました。リスクヘッジの一つとして、家族が勤務先や通学先から歩いて帰れる場所を選ぶという考え方です。

この「都心からの時間距離」を評価する場合、山手線の内側及び山手線の駅徒歩圏であれば、基本的に最高ランクでいいと思います。

駅からの徒歩距離(時間)

不動産業界では、駅徒歩〇分は、道路距離80mを1分と換算しているというのは有名な話なのでご存じの方も多いと思います。最近では、「駅徒歩7分以内でなければ、資産価値を維持できない。」などという話もされていますよね。

これも、一律で駅徒歩7分を越えたから「マイナス」とは言えないと思っています。商業施設が近ければ、駅前よりも却って利便性は高いのではという場所もありますし。その場所の特性を見てから決めないといけないことだと思っています。

都心部なら、地下鉄が2本・3本と使える場所も多いので、徒歩距離はほとんど考慮しません。たまに、どの駅にも10分以上かかるという場所がありますが、その場合のみ、多少のマイナスを付けます。

とはいえ、基本的には、駅から近い方がプラス評価なのは間違いがありません。

複数の路線を使用できるか否か

電車は、たまに運行停止になるものです。強風が吹いているからと止まる場合もあれば、強風で枝が架線に引っ掛かったからという理由の場合もあります。信号トラブルや、人身事故等様々な原因で、運行がストップします。

そういう状況になっても、家に帰れる(会社に行ける)という代替手段を持てる場所はプラス評価です。

急行等の停車駅か否か

これは「都心からの時間距離」に含めてもいい要素なのですが、最近は、この要素も少し比重が高くなったかなと感じているので、別項目にしました。

基本的に、山手線の内側の場合はこの要素は考慮しません。東急や西武等の放射状に延びる路線でプラス評価する要素です。

主要道路へのアクセス性

「電車での都心への接近性」が一番価格に影響を与える要素です。ただ、都心からは少し離れていても、駅からも少し離れていても、環七や環八、甲州街道や中山道、246等の幹線道路へのアクセスに優れる場所であれば、その点をプラス評価します。

幹線道路沿いだと、別のマイナス面が生じてしまいますが。

結論

「交通利便性」は、繰り返しますが、不動産価格に与える影響が最も大きい要素です。また、現在、この利便性を求める機運が高まり、昔よりもこの要素の重要性は高まっていると感じています。

ただ、利便性が高いからといって、埋め立て地や海抜0メートル地帯に住むというのは、あまりお勧めしません。既に住んでいる方のことをとやかく言うつもりはないですが、これから新たに住む場所を決めるのに、というか、決めることができるのに、わざわざ災害リスクが高そうな場所を選ぶことはないと思っています。

また、先にも触れましたが、住居を選ぶときは「家族の命と財産を守ること」を第一義とするべきです。「利便性」というのは、優先順位が下です。いくら利便性が高くて、住みたい場所を見付けたとしても、予算的にそのエリアでは低地や谷地の物件しかないという場合は、少し遠ざかる決断をしてください。少し利便性は劣っても、高台の安心な立地を選んでください。

利便性に惑わされず、不動産を選ぶときに本来考えなくてはいけないことを大切にして、良い物件を選んでいただきたいと願っています。

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自宅マンション購入の際に収益性はどれくらい考慮するべきか?

自宅マンションの購入に際して、「収益性」を考慮する必要はあるのでしょうか?

住むのは自分や家族という場合、「収益性」はあまり気にする必要がないと思います。収益性というのは、他の人に部屋を貸して、その賃料収入で元が取れるか、という話なので。自分で住むのだから、安全安心は重視して頂きたいですが、それ以外の項目はご自分の好きにしていいと思います。

但し、転勤で一時的に住めなくなったり、実家の跡を急に継がなくてはいけなくなった等の理由により、売却と合わせて「賃貸」という選択肢を考えることもあるかもしれません。そのような将来的なリスクヘッジ的な意味合いと、最近では借り手の付かないような物件は売却も困難なことがあるので、『資産性』を判断するために「収益性」で検証するという位置付けだとお考え下さい。

現時点での想定賃料

「収益性」について、一番の見極めポイントは、相応の賃料を取れる物件か?ということです。

この“相応の賃料”というのは、自宅マンションの場合、ローン+管理費・修繕積立金+固定資産税+保険料等必要経費の合計額を上回る賃料のことです。また、エアコンや給湯器など室内の設備の更新が必要になれば、専有部分の中の設備更新は所有者の責任となるので、その分の余裕もなければいけません。

要は、ランニングコストを上回る収入(賃料)を取ることができるか、です。このシミュレーションをして毎年(毎月)赤字になるというマンションは、価格が高過ぎだと判断できます。

“賃料”の査定方法については、「不動産の教科書」で解説していますので、そちらを参考になさってください。但し、収益不動産について書いた記事なので、「レントロール」や「賃貸履歴」等は無視してください。

管理費の水準及び値上げの可能性

管理費は、築浅のマンションでも築古のマンションでもさほど変わらない場合があります。建物が古くなるに従いメンテナンス個所も増える修繕積立金とは異なり、管理自体にさほど大きな変化はないからです。

築年よりも、建物の形状や管理のしやすさ、共用部分の豪華さ、管理形態等により管理費に違いが出ます。また、管理内容に関心を持たない管理組合だと、管理会社が必要以上の管理費を取っている場合もあります。

ただ、現状(2019年ごろ)、管理会社から各マンションに派遣される管理員不足が深刻化しているため、管理費の値上げを求めてくる管理会社もあるようです。その場合も、管理内容等を精査し、人材確保のための値上げ分ならしょうがない、というような交渉している形跡が議事録等に見られるマンションだと今後も安心です。

修繕積立金の水準及び値上げの可能性

修繕積立金の値上げの可能性については、以前書いた記事で触れましたので、ここでは簡単におさらいします。修繕積立金の積み立て方式には、主に、

段階増額積立方式
均等積立方式
一時金併用方式
の3つがあり、2番目の「均等積立方式」以外は値上げの可能性は否定できません。
※「均等積立方式」も社会経済情勢の変化によって、値上げする可能性は否定できませんが、ここでは可能性が小さいものとして扱います。

投資案件で、「段階増額方式」または「一時金併用方式」の築浅マンションの収益性をシミュレーションする際に、現状の修繕積立金の額をそのまま費用としている業者を見かけますが、修繕積立金については、最低でも相場である200円/m2前後で計算すべきでしょう。

現状、相場である200円/m2以上の修繕積立金を徴収しているマンションであれば、基本的には、現状の金額を採用します。ここでも、費用については、保守的に査定します。
※あまりに相場から離れて高い場合は、その理由も探らないとなりませんが。

修繕積立金については、単純化しますと、相場より安い金額だった場合には値上げの可能性があるので、費用の計上は保守的にしましょう、ということになります。

空室率の査定

ここでお伝えしたいのは、「空室率を考慮しない収益性のシミュレーションはあり得ない」ということです。

「空室率」をどれくらいに見積もるのかを自分で調べる方法については、「不動産の教科書」の記事を参考にしていただきたいのですが、収益性が賃貸を意味する限り、「空室(の期間)」は発生します。

前の入居者が退去して、すぐに新しい入居者が見付かったとしても、部屋の清掃や修繕(クロスの張替え)等で早くても1ヶ月ほどは空室期間が発生します。

購入検討マンションの立地によって、賃貸需要が異なりますので、それに見合った空室率を見積もる必要があります。

還元利回りの査定

「還元利回り」も難しい概念ですが、正直、自宅を購入する際には、あまり厳密に考える必要はないのではないかと思っています。この「還元利回り」というのは、収益価格を出す際に決定的な役割を果たすのですが、自宅の場合は重要性が低いです。利回りよりも、上述したように、ランニングコストを上回る賃料を取れるかどうかの方が重要です。

「還元利回り」に興味のある方は、「不動産の教科書」の記事を参考にご自分で調べていただきたいのですが、その物件に見合った利回りを査定するというのは結構ハードルが高いです。
#仲介業者さんで、これを査定できる人がいたら、かなり優秀です。

ただ、現状は不動産マーケットが過熱気味なので、利回りは低くなりがちです。不動産というのは、上述のように空室リスクもありますし、地震などの災害で損壊リスクも負っているので、正直、5%は欲しいところなのですが、都心部ではこれを下回るのが常態となっています。

固定資産税等その他

マンションの物件情報を見ていて不満なのが、「固定資産税及び都市計画税」の記載がないことです。たまに記載されている物件もありますが、非常に稀です。

都心部のファミリーマンションですと、固定資産税等が20万円を超えることもザラなので、修繕積立金より高いマンションもあるくらいです。収益シミュレーションをするためだけでなく、ただ単にランニングコストを計算する場合にも欠かせない項目だと思うのですが、買付証明書を出さないと教えてくれない業者もいます。

また、この固定資産税等は、推測するのが難しい面もあります。ある程度の幅では推測できますが、正確に算出するのは外から見るだけでは困難です。なので、この項目については、基本的には、売主に請求して固定資産税等の実額を教えてもらい、その額をシミュレーションに使います。

売主に実額を貰う前である場合は、推測した額となることをご了承いただくことになります。

結論

自宅を購入するにあたって「収益性」を重視する必要はありません。ただ、「収益性」の観点からも検討しておくと安心です。

特に、転勤の可能性がある会社員等の方の場合は、リロケーションに出した場合に、ランニングコストを上回る賃料を取れるかどうかは非常に重要な視点なのではないでしょうか。

とはいえ、住居を選ぶときは、「家族の命と財産を守ること」を第一義とするべきです。その観点から「良い物件」を選べば、ほとんどの場合、「資産性」や「収益性」も後から付いてきます。

この記事で、「不動産分析サービス」の各項目についての説明は終了です。これらの記事により、自分でも調べようと思えば、ある程度は物件のリスク判定ができるようになるのではないでしょうか。

不動産の購入をお考えなら、まずは不動産について勉強して頂き、業者の言い分が正しいかどうかを見抜くだけの知識と情報を身に着けていただきたいと思います。

それでも、調べた結果手に入れた情報について、良し悪しの判断に迷うことがあると思います。その場合は、どうぞ、専門家を使ってやってください。
※不動産については、業界最難関の資格保有者である不動産鑑定士にご相談ください。(最後は営業となりましたが、よろしくお願いいたします。)

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『資産性』に焦点を絞ったマンションの評価

マンション購入検討理由の中で、「資産を持ちたい・資産として有利だと思ったから」が一番多い理由となっています。

第29回 新築分譲マンション購入に際しての意識調査 2018年
https://www.major7.net/contents/trendlabo/research/vol029/

※この辺の前フリの部分は「不動産の教科書 ~不動産鑑定士が教える不動産の正解~」の資産性に関する記事でも触れていますので、そちらもご覧ください。

『資産性』を保てる物件とは、10年後等に売却しようとした場合に購入価格より高く売れる物件のことではありません(高くなる可能性は排除しませんが)。マンションは、築10年と築20年では当然に価格が異なります。建物が古くなるのですから、築年が古くなるにしたがって安くなるのは当たり前です。

この建物の経年劣化による価格下落という自然な要因“以外”は、価値を維持できる可能性の高い物件のことです。そういうマンションを選べば、マーケットの変動によっては、結果、売却価格が購入価格より高くなる可能性もあると思っています。

『資産性』を保てる物件とは、改めて言えば、10年後や20年後に売却しようとした場合に、できるだけ高く売れる物件のことです。くどいですが、建物の経年劣化分の価格下落に止まる物件です。

しかし、不動産価格に影響を与える要因は多岐に渡ります。これらの要因の中から、『資産性』に大きく影響すると思われるものについて見ていきましょう。

現在のマーケットの状況

不動産の価格が上下するのは、不動産も金融商品と同じように景気のサイクルに左右されるためです。景気が良い時は不動産価格は高くなり、景気が悪い時は不動産価格は安くなります。

では、現在の不動産マーケットの状況は、どんなデータを見ればいいのかというと、

現在の不動産価格は高いのか、過去からの推移をみる。
不動産価格指数(住宅)」国土交通省
「不動産価格の動向を把握するため、国際的に共通のルールに則った指標の作成を目的」として、国土交通省がまとめたものです。単純に、現在の不動産価格は高いのか(ここ数年でどれくらい上昇したのか)?、上昇が続きそうか?を数字で示してくれます。

“利回り”から、不動産マーケットの状況を把握する。
→「不動産投資家調査一般財団法人 日本不動産研究所
不動産というのは、マーケットが過熱しているかどうかを利回りで判断できます。大抵の場合、価格の上昇に賃料の上昇が追い付かず、マーケットが過熱すると利回りは下がります。ファミリー向け一棟賃貸物件の期待利回りが4.5%を切る状況だと過熱気味と言えると思います。
※リスクフリーレートである10年物国債金利との差がどれくらいあるのかも大きな判断材料なのですが、保有・管理することに手間やリスクが生じる不動産(ここでは居住用)では、期待利回りが5%を切ったら過熱を疑い、4.5%を切ったら過熱してきたと判断してもいいと思います。

“年収倍率”で、エンドユーザー(一般消費者)の購買意欲(需要)を測る。
→「年収倍率(株)東京カンテイ
年収倍率とは、年収の何倍で物件が買えるかを表すものです。この倍率が大きくなると、物件を買える人が少なくなり、不動産マーケットに翳りが生じます。目安としては、年収倍率が10倍を超えている場合は、マーケットが過熱気味だと判断できると思います。

等々により、不動産のマーケット・サイクルが現在はどのような状況なのかを判断します。上に挙げたサイト以外にも、参考になる情報はあるので、色々見てみてください。

“利回り”と“年収倍率”については、「不動産の教科書」でも解説していますので、そちらも参考になさってください。

災害による損傷確率

大きな地震が発生し、建物が一部でも損傷した場合、当然ですが、修繕をすることとなります。倒壊を免れても、損傷の度合いに応じて修繕費は必要となります。この損傷の程度が、他のマンションと比較して、同程度なのか、劣るのかは大きな問題です。

以前も触れたように建物の損壊は資産性を毀損することに直結するので、損傷のリスクの程度が高いマンションは、将来必要となる費用を多く見積もる必要があり、現在時点での査定としても安く評価されないといけません。

ただし、この将来に起こる損傷のリスクを正確に見積もることは不可能です。以前の記事で触れた以下の項目ごとに大まかにリスクを積み上げていくことになります。
築年:旧耐震ではないか。新耐震でも築年が古いものは、管理が行き届いているか。
形状:極端に縦に細い形状ではないか。
施工会社:特記する場合を除いて、施工会社でリスク判断をすることはないです。
観察減価:ヒビなどを放っておいていないか等。
性能評価書:性能評価書がある物件の方が安心。
等を積み上げ、総合的に判断します。

ブランド(街)

よく「住みたい街ランキング」というのがありますが、ああいったアンケートで出てくる街は時の移ろいにより人気が上下しますので、あまり気にしなくてもいいと思っています。

街の『ブランド』という定義は、
閑静な住宅街である。
敷地の広い家が並んでいる。
長い期間、住民がプライドを持って街(住環境)を守ってきた歴史がある。
「あそこに住んでみたい」と皆が憧れる場所である。
等の条件を満たすエリアだと思っています。

具体的には、番町、麻布、松濤、城南五山、大和郷、大山町などです。田園調布や成城もこの分類に入ると思います。

ただ将来的には、街がブランドを維持するには、利便性を抜きにしては語れなくなるでしょう。そういう観点から、最近ブランドが強化されている街として、港区の青山・赤坂・白金、渋谷区の広尾・代官山等を挙げることができます。逆に、この利便性の観点から、田園調布や成城は、昔ほどのブランドを発揮できなくなる可能性があると思っています。

『ブランド』の定義の最後の項目である「憧れ」に占める利便性の割合は今後も高くなっていくと予想されます。それに対して、3番目の項目である「住民が守ってきた環境」という側面は比較的重視されなくなると予想しています。
※私個人的には、この3番目の項目は非常に重要だと思っていますが、今後のブランド街の趨勢は、3番目の項目の比率が下がり、最後の項目(の中の利便性)の比率が上がるという傾向を示すと予想しています。

山手線内側の武蔵野台地上にあり、上述の条件のうち3番目の項目は難しいとしても、他の項目をほぼ満たすようなエリアはすべて『ブランド街』に準じると考えても間違いではないと思っています。(嫌悪施設が近所にあるエリアは除きますが)

山手線内側でなくても、複数路線が乗り入れていて、都心部へのアクセスに優れる駅付近で、上述の条件をほぼ満たす高台エリアは『ブランド街』に準じると判断してもいいでしょう。

ブランド(分譲会社)

マンションには分譲会社によって『ブランド』があります。その中で大手の『ブランド』を冠したマンションを『ブランドマンション』と呼び、売買価格も高くなる傾向があります。

『ブランドマンション』って、何なのでしょうか? 少しくらい高くても『ブランドマンション』を購入する方がいいのでしょうか?

繰り返しますが、『ブランドマンション』というのは、大手のデベロッパーが分譲したマンションです。大手が分譲するということの、消費者にとってのメリットは、

イメージがいい。名前が通っている。
→ほとんどの人は、有名なものの方が安心感を覚えます。ブランドマンションは、買うときは高くつきますが、売るときも高く売れる可能性が高いと考えます。
施工監理がしっかりしている。
→大手デベロッパーは、いくつものマンションを手掛けているので、施工監理についてもノウハウが社内に蓄積されている筈だと考えます。
大きな瑕疵があった場合に建て替えてもらえる。(保険的機能)
→少し前に基礎抗が支持層(固い地盤)に届いていないために建物が傾き、全棟建替えとなった大手デベロッパーの物件があったのをご記憶されている方も多いのではないでしょうか。片や、2005年に耐震強度偽装問題を起こしたヒューザーは破産し、住民たちはローンの2重払いなどに苦しみました。建物を見て、その内在するリスクを見抜くのはプロでも難しいので、竣工後数年経過してから問題が顕在化したときに、建替えてもらえる体力のある会社がデベロッパーだといことは、ある種の保険的な意味合いで、多少の価格上乗せもやむを得ないかと思います。

等が挙げられます。

≪保険的機能≫
大手デベロッパーが全棟を建替えてくれたという話に触れましたが、この問題が顕在化した当初は全く取り合ってくれなかったそうです。住民が指摘しても、「うちに責任はない」と門前払いだったようです。
マスコミが取り上げるようになって、ようやく重い腰を上げてくれたようですが、経過はどうあれ、全棟建替えが可能な体力がある会社がデベロッパーでよかったと住民も思っていると思います。

これらに対して、『ブランドマンション』であることの消費者のデメリットは、特にありません。価格が少し高くなる傾向があるというくらいです。ただ、それも上述した保険的機能に対する費用(保険料的なもの)と考えれば、さほど割高感はなくなるでしょう。

ただ、耐震偽装問題を受けた2007年の建築基準法改正(構造計算適合性判定制度の導入等)により、建築確認・検査が厳格化されたため、大手だろうが何だろうが、施工された建物自体に差はさほど認められなくなりました。また、2009年10月1日以降に引渡しされる新築住宅から「住宅瑕疵担保履行法」が適用され、大手でなくても新築後10年間の瑕疵担保責任の履行が保証されました。簡単に言うと、事業者が倒産しても、保証機関が代行してくれるようになりまいた。

なので、2009年10月1日以降に竣工した建物であれば、大手であってもなくても実質的にはあまり変わらないと思っています。

階層、方位、間取り等

「資産性」は、売ろうと思ったときに、比較的売れやすいこと(流動性)が必要です。その売れやすさを左右するマンション固有の要素として、階層、方位、間取り等があります。

階層
部屋が何階にあるのか、です。「不動産の教科書」の方でも書いた話ですが、4階以上になるとバルコニーや窓からの侵入が少なくなります。防犯面からは、4階以上に住むことをお勧めします。3階も外部侵入のリスクは比較的小さく、流動性の観点からも3階以上の方が売れやすいです。

このような観点もありますので、1階や2階の部屋は比較的売れ残りやすいです。

方位
方位については、特に話すことがありません。皆さんがお考えの通りです。南向きの部屋が一番人気で、南東向きや南西向きもさほどマイナスにはなりません。それ以外の人気の順番は、東向き > 西向き > 北向き となります。

ここは、保有物件の売却を考えたときに売れやすい条件を考えるコーナーなので、それぞれの方位の良さみたいなことは省略します。売れやすいのは、南向き(南東、南西含む)の部屋です。

間取り
間取りは、人によって好みがあるので、一概に良い悪いと判定しにくいのですが、一部の人に敬遠される間取りというのは存在します。

部屋の壁の一つが斜めになっている。
→家具の配置等が制約される。
デッドスペースがある。
→部屋の中に大きな柱が出っ張っていて、柱と壁の間の使い方が制約される(実質的に使える部屋のスペースが狭くなる)。
行灯部屋(窓のない部屋)
→単純に、明るい部屋の方がいいと考える人が多い。
天井高が低い。
→圧迫感がある。リフォームの際に融通が利きづらい。

などのマイナス要素のない間取りが売れやすいです。「リビングイン」とか「アイランドキッチン」などの流行はありますが、まずはマイナス要素がない部屋の方が「資産性」は保ちやすいといえます。

権利形態(所有権、借地権等)等融資の制約

マンションを購入しても、その敷地部分は共有であり、建物もその一部分(部屋の部分)の内側を保有しているに過ぎず、建物が耐用年数を迎えたら建替え等の方策を他の住民と協議しなくてはなりません。

建替えが難しいのであれば、耐用年数を迎える前に売却を検討する必要があります。マンションに一定期間しか住まないのであれば、権利形態が所有権だろうが借地権だろうが関係ないという考え方もあると思います。建物の存続期間に差はないので。

ただ、融資を考えると、景色が変わります。以前に書いた「定期借地権マンション」は嫌ですか?という記事をご覧いただきたいのですが、やはり借地権マンションは、価格を下げないと売却は難しいです。

また、権利形態は所有権でも旧耐震であったりすると、建物の状況によっては融資が制限される場合があります。

既述したリスクによる影響

「資産性」を保てる可能性の高い物件とは、要するに総合力の高い物件なので、今まで述べてきた立地や住環境、建物の性能等すべてが関わってきます。

なので、この項目は、各項目の評価を「資産性」というフィルターを通してみるだけになります。特に新しい視点はありません。悪しからず。

結論

「資産性」を求めるならば、結局は「総合的に良い物件」を選ばなくてはなりません。人生で一番の高い買い物をするのですから、しっかり勉強もしていただきたいと思います。

但し、不動産の勉強で盲点となりがちなのが、不動産の本として流通しているものの多くが、個人の経験談だったりすることです。それはそれで非常に勉強になりますが、芯の通った体系的な学習とは、やはり異なります。

住居を選ぶときは、投資用不動産を選ぶときと異なり、「家族の命と財産を守ること」を第一義とするべきです。「資産性」というのは、後からついてくるものです。

利便性やブランド等に惑わされず、不動産を選ぶときに本来考えなくてはいけないことを大切にして、良い物件を選んでいただきたいと願っています。

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「マンションは管理を買え」というけれど、具体的なチェックポイントは?

「マンションは管理を買え」とはよく言われます。

管理の悪いマンションは、
1.外壁のヒビから水が浸入し、コンクリートの中の鉄筋が錆びる。→耐震性が落ちる。
2.掃除が行き届かなくなり、清潔感がなくなる。→高く売れなくなる。
3.民泊に貸すオーナーや風俗関係に貸すオーナーが現われる。→騒音・治安の問題発生
4.大規模修繕や建替え等の合意が得られず、廃墟マンションとなる。
等々の可能性があります。

では、「マンションを管理で買う」ためには、どんなポイントをチェックしなければならないのでしょうか?
※管理組合の議事録や修繕計画書等は、提示のあった場合に、それをチェックします。買付証明書を入れたら、すぐに貰ってください。

管理費及び修繕積立金の額

管理費や修繕積立金には、公開されている相場があります。国土交通省がまとめた「マンションに関する統計・データ」では、次のような金額となっています。

東京圏にあるマンションの管理費は平均でm2当たり179円(使用料・専用使用料からの充当額を除く)です。80m2の部屋なら14,320円前後ということです。

同じく東京圏にあるマンションの修繕積立金は平均でm2当たり196円(使用料・専用使用料からの充当額を除く)です。80m2の部屋なら15,680円前後ということです。

この数字は、築年もグレードも立地もごっちゃまぜの平均ですので、共用施設が豪華なタワマンや閑静な住宅地にある高級マンションなどでは高くなりますし、小規模なマンションも比較的高くなる傾向があります。個々のマンションで違いはありますが、参考にすべき数値として、管理費も修繕積立金もm2当たり200円ほどだということは気に留めておくといいと思います。

管理費に関しては、デベロッパー系列の管理会社でもないのに相場より高い管理費を取るマンションだと、管理組合があまり活発ではなく、管理会社の言いなりなのかもしれないという懸念が生じます。

修繕積立金に関しては、相場より安い場合には、
1.管理組合が機能せず、積立金の増額を決められず、修繕等ができるなくなる可能性のあるマンション
2.築年が比較的浅い場合の、初期の積立額を抑え段階的に値上げする「段階増額積立方式」のマンション
3.大規模修繕時 においては一時金の徴収等を併用することにしているマンション
の可能性が考えられます。

勿論、であったら最悪です。修繕積立金が安いのは、である場合が多いです。ただ、「多い=みんなが採用している=安心」とは言えません。こういうマンションは、大規模修繕工事の時期に値上げを図ることが多いので、築12年のマンションを買って入居したら、翌年から修繕積立金が1.5倍に跳ね上がった、なんてことは珍しくありません。

の一時金の徴収は、分譲時に「修繕積立基金」という名目で修繕積立一時金を徴収する形式です。これは、修繕費用として貯蓄されていますので、第1回目の大規模修繕工事くらいまでは、この貯蓄と分譲当初の安い修繕積立金で賄えます。ただ、多くは、2回目の大規模修繕工事の際には枯渇していますので、結局修繕積立金の値上げが必要になります。また、「修繕積立基金」もないのに「一時金」の併用というのは、単に大規模修繕工事をやろうとなったら「工事費が足りない!」となり「なので一時金を集めます」となるパターンです。なので、相場よりかなり安い修繕積立金のマンションは、(特に2回目以降の)大規模修繕工事の際に大幅に修繕積立金が値上げされるか一時金を徴収されるリスクがあると考えてもいいかもしれません。

比較的築浅の建物なのに修繕積立金が相場より高い場合は、計画期間中均等に積み立てる「均等積立方式」である可能性があります。これは、管理組合が先のことまできちんと考えて導入したということ(最初から均等積立方式のマンションはほとんどありません)なので、好感が持てます。長く住もうと思うなら、均等積立方式を採用しているマンションは1つのメリットと考えてもいいと思います。

築年が古い建物で、修繕積立金が高い場合は、段階増額積立方式で建物が新しかったうちは安い修繕積立金だったのが、大規模修繕工事を賄えず値上げした後だと推測できます。

全体最適を考えないのであれば、一番得なのは、築浅の段階増額積立方式のマンションを買い、大規模修繕工事の前に売却するというパターンです。

ただ、段階増額積立方式も悪いとは思いません。建物が新しいうちは修繕する箇所も少なく、古くなると修繕が必要となります。そういう観点からすると、建物の状況に合わせた修繕積立金の額だと言えるかもしれません。

これも、購入するマンションがどの積立方式なのかをきちんと把握することがまずもって必要です。その上で、その良し悪しを踏まえて、購入の判断の1つのピースにするべきです。購入を検討している物件が段階増額積立方式であり、すぐに値上げが予定されているようだったら、売買価格の値下げ交渉の材料にするとか。売買価格の値下げが、修繕積立金の増額に見合えば、何も問題はないので。

管理人の勤務形態(常勤、日勤等)

管理組合は、日常の建物の管理業務を管理会社に委託することがほとんどです。そして、その管理会社から派遣されてくるのが「管理人」です。エントランスの受付に座っていたり、ゴミ出しをしたり、掃除をしたりといった日常業務をこなす役割を担っています。

この管理人の勤務形態は、
1.常勤
2.日勤
3.巡回
に分かれます。(この分類事態、きちんと統一された基準がないのですが。ここではこの3つとします。)

1.常勤
「住み込み」やシフト制により常に管理人がいるような管理形態です。これが理想ですが、当然、管理費は高くなるので、管理人を常勤にできるのは高級マンションか大規模なマンションくらいです。

2.日勤
毎日、管理人が通ってくる管理形態です。ただ、ここも用語の定義が業界で統一されている訳ではないので、一日のうち何時間管理をしているかということについては、マンションごとに異なります。

3.巡回
ゴミ出しの曜日だけ来て、掃除やら共用設備のメンテナンスを多少やっていくといった管理形態です。これもはっきりと定義がないのですが、巡回の場合、他のマンションと1日に複数掛け持ちする場合もあるようです。

エントランスの入口に受付があるようなマンションですと、小学生の子供の帰宅時間には管理人がいると安心ですよね。自分や家族の日常の生活を想定し、どのような管理形態まで妥協できるか、家族で一度話し合うといいと思います。

管理組合の評価

管理組合が活発か、まともな運営をしているのか、はどこを見れば分かるでしょうか。

残念ながら、これは外形では分かりません。買付証明書を入れるなどしてから、管理組合の理事会議事録や総会議事録、長期修繕計画(大規模修繕計画)等を取り寄せ、それを吟味することである程度推測できます。

具体的には、
総会の出席状況:マンション住民の関心度合いが分かります。
理事や理事長の選任方法:やる気のある方が続けられる仕組みか。逆に、同じ人が何年も理事長を務めているというのはリスクもあります。(長年務めていても、公正明大な経理をし、それが組合員に公開されていれば問題ありません。)
管理費の滞納戸数や滞納総額:日常の管理に支障があるほどの滞納があり、それを回収できる見込みがないと他の居住者が割を食う場合があります。
長期修繕計画:先々のことをシミュレーションした上で、修繕積立金等について議論をしているか。
町会・自治体との共存共栄:防犯や防災は、マンション単体では限界があります。

等々を読み取ります。

≪築浅マンションの管理組合≫
築浅マンションだと、修繕もほとんど必要ないですし、デベロッパー系列の管理会社がそつなく管理している限り、管理組合で何か問題提起される可能性は低いです。そういうマンションの管理組合総会議事録を見ても、特に何もなかったりします。(何もないというのは、話し合いがないという意味ではなく、通常業務の報告的なものだけという意味です。)
なので、築浅マンションの管理組合を評価するのは難しいです。大規模修繕工事を一度くらいは経験してからの方が管理組合は動き出すので。
逆に言えば、購入者が自分のこととして、管理組合を活発化させるチャンスがあるかもしれません。

長期修繕計画の評価

前稿でも触れましたが、定期的にきちんとメンテナンスをしている建物と、修繕について同意をまとめることができずにまともな修繕をしたことのない建物とを比較した場合、築20年以上の建物は見た目で歴然とその差が分かると思います。

長期修繕計画というのは、将来予定される大規模修繕工事のスケジュールです。そもそも、この計画がないマンション(古いマンションだとたまにあります)には、手を出さない方がいいでしょう。大規模修繕工事となる度に多額の一時金を徴収される可能性もあります。

この長期修繕計画は、大きな地震等がない限り、15年周期くらいで大規模修繕工事をやることになっていると思います。長期修繕計画も買付証明書を出してからでないと貰えないことがほとんどだと思いますが、できるだけ早く取り寄せて、以下の点をチェックしましょう。

●「長期修繕計画作成ガイドライン」に則っているか?
→このガイドラインは、国土交通省がまとめたものです。マンションごとに項目もバラバラで比較するのが難しかった「長期修繕計画」の様式の統一化を図ったものです。このガイドラインに則っていない「長期修繕計画」である場合、何かやましいことがあるのかもしれません。

●躯体だけでなく、設備も“計画”に含まれているか?
→例えば、エレベータは20年~25年で更新が必要と言われています(30年くらいまで引っ張る事例もよく見掛けますが)。エレベータの更新となると1,000万円ほど掛かることも珍しくないので、計画にないと更新費用が足りずに一時金の徴収ということになりかねません。築30年前後には、分電盤や給排水管等も更新が必要になります。このような設備もスケジュールに組み込まれているかを確認します。
※国土交通省「マンション管理標準指針」参照

●大規模修繕に必要な金額が積み立てられているか?
→比較的小規模のマンション(30戸~40戸程度)でも1回目の大規模修繕にかかる費用は、5,000万円ほどと考えておくといいと思います。同じマンションでも、2回目の大規模修繕ではもっと高くなりますし、建物の形状が凝った意匠だったりすると、それも高くなる要因になります。先々の修繕を見越して、十分な修繕費が積み立てられているのか、金額もチェックする必要があります。

等が長期修繕計画のチェックポイントとなります。

管理会社の評価

管理会社の評価は、施工会社の評価と同じく難しいです。他のマンションでは評判のいい管理会社でも、管理人の素行によって評判はひっくり返りますし。管理は、結構、属人的な面が大きいです。なので、内見のときなどは、管理人に話しかけて人柄を見るといいでしょう。

また、管理会社には、主に「デベロッパー系列の管理会社」と「独立系の管理会社」があります。それぞれのプラス面及びマイナス面を把握しながら、住民間でどういう管理を望んでいるのかをまとめた上で管理会社を選定するといいでしょう。

新築分譲時に管理会社となっているデベロッパー系列の管理会社は、問題があるところは少ないですが、管理費が高くなりがちです。修繕などの工事も管理会社に任せっぱなしにすると、高くなることが多いです。いわゆる高級路線といっていいと思います。高い費用を取る代わりに、マイナスは少なく、高級マンションにお勧めの管理会社です。

独立系の管理会社は、管理費を安く抑えてくれることが多いです。これは、リプレイス(管理会社の交代)を持ち掛ける営業で契約を取るためでもあります。ただ、そのため、安かろう悪かろうの会社もちらほら見受けられます。管理費を安くした分、修繕費などを高くとろうとする傾向も見受けられます。管理組合がしっかりと機能し、管理会社をコントロールできる自信のあるマンションは、独立系にリプレイスすることをお勧めします。

≪修繕費≫
修繕費は管理会社の重要な収入源です。なので、すべての管理会社が自分たちを通して発注してほしいと考えています。修繕費について、相みつを取り、管理会社を通さず直接別の会社に発注したら、管理契約の解除を求められた、なんて話も聞きます。でも、やはり相みつを取るのが原則だと思います。こういう建物に関する費用は、非常に分かりにくいので、複数の業者から見積もりを取り、その金額だけでなく、修繕の内容なども見比べ、余計な工事が含まれていないか、割高な工事が混じっていないか、比較することで分かることもあると思います。

工事内容を把握した上で交渉し、管理会社を通しての割高感が薄まれば、管理会社を通して発注してもいいですしね。

管理会社の評価は難しいですが、1回目の大規模修繕工事が終わっても、デベロッパー系列の管理会社のままであるマンションは、管理組合が機能しているのかの確認が必要だと思っています。きちんと議論した上で、高級路線を採用し、このままいこうとなっているのなら問題ないですが、管理会社の仕事ぶりに対して、何の議論もしていない管理組合は、管理会社のカモにされる可能性があります。

管理会社は、必ずしも居住者(管理組合)の味方ではなく、自分たちの利益の最大化を目論んでいる存在であることを念頭に置いていただきたいと思います。

結論

「資産性」を求めるならば、管理は非常に重要です。曙橋にある1981年竣工(旧耐震)のマンションは、耐震診断をした上で耐震補強工事を済ませ、管理の劣る新耐震のマンションよりお勧めできるくらいです。耐震補強工事を済ませた分譲マンションというのは、都内でも非常に珍しい事例となっています。

このマンションは、修繕工事も計画的に行っていて、外観や廊下などは築浅の建物と遜色ありません。管理組合がしっかりしていると、こんなにもちゃんと建物が維持できるのだな、といつも感心しています。

築年が古くても耐震補強工事を済ませた建物と、あまり管理が行き届いておらず外壁のコンクリートから赤錆が滲み出ている建物では、「資産性」について比較する気にもなりません。

購入したからには、ご自身がオーナー(管理組合の一員)としてその建物の管理・維持に責任を持つことになりますので、是非、管理組合を盛り上げて、良いマンションを増やしていただければと思っております。

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洪水ハザードマップを今一度見直しましょう!

[草の根不動産鑑定士のブログ]と内容は同じです。内容的にこちらにも掲載した方がいいと思い、重複掲載します。

台風19号の被害に遭われた方々には心からお見舞い申し上げます。改めて水の怖さを思い知らされました。

今回もニュースを見ていますと、浸水したエリアと自治体が作成する「洪水ハザードマップ」の浸水可能性エリアが結構な確率で一致していることが指摘されていました。

ここでは、改めて「洪水ハザードマップ」の見方をお知らせしたいと思います。
市区町村では、「洪水ハザードマップ」を作成しています。
#作成していない自治体もあるらしいですが、東京近郊ならまずあります。

しかも、私の事務所がある新宿区は、毎年のように更新しています。曙橋付近では、以前の洪水ハザードマップでは、最大5mの浸水可能性を指摘されていたのですが、最新版(2019年1月)だと最大1mほどと訂正されました。

曙橋付近で心配される溢水は、下水道が溢れてくる「内水氾濫」なので、まぁ妥当かなと思います。新宿区では、浸水可能性を「土地の標高(高低)」及び「下水道処理能力」から判断しているそうです。
#曙橋付近の内水氾濫については、以前書いた記事をご覧ください。

私が洪水ハザードマップを見る際の手順は以下の通りです。

1.浸水可能性の有無

まずその場所に色がついていないかどうか見ます。上の洪水ハザードマップをキャプチャした画像で、曙橋駅付近の靖国通りは、オレンジ色(0.5m~1.0m)と黄色(0.1m~0.5m)が混在しているのが分かります。

調査対象物件の場所に色がついていたら、浸水可能性がある立地ということです。

2.浸水深と浸水継続時間

凡例から浸水深の色と浸水継続時間を読み取ります。洪水ハザードマップの色がついている場所は、その色により浸水深が異なります。要は、リスクが異なります。

凡例とよく照らし合わせて、その場所は何mまで浸水する可能性があるのかを読み取ってください。新たに家を購入しようとする人には、そもそも浸水可能性がある場所はお勧めしません。上層階に住むから大丈夫だ、という人がいますが、1階が浸水したらそのマンションの資産性はガクンと下がりますからね。

そして、浸水継続時間も大切な情報です。ニュースでは、「3日経っても水が引きません。」という映像をご覧になったことがあると思いますが、水が引かないことには、被害の状況も把握できません。

#新宿区では、浸水継続時間は最大で24時間とされています。水が長く滞留するエリアはないと想定しています。

3.周囲の土地との高低差

そして、周囲の土地との高低差を調べます。浸水可能性を指摘されていても、坂の途中だとか、隣接する土地が一段下がっていれば、調査対象物件の場所の浸水リスクは多少軽減されると考えてもいいでしょう。

逆に、周囲の土地がみんな高くて、谷地や窪地のような場所であれば、浸水の深さが想定を超えることや、水の滞留時間が長期化する可能性も考えなければいけません。

この際に使用するのが、国土地理院の「国土地理院の標高がわかるWeb地図」です。

例えば、上のキャプチャ画像の曙橋駅と書いてある地下鉄出口付近を見ると標高は約20mであることが分かります。そして、上下(南北)の地点を調べると、黄色とオレンジの場所でさほど高低差はないように見えます。

この地図に高い精度は求めていません。あくまで参考資料です。その上で、地図に誤差はあるとしても、あまり高低差がないように見えるということは、黄色の部分も1.0mの浸水可能性があるかもしれない、と思っておいた方がいいということです。リスクは大きい方を採用するように心掛けましょう。

また、靖国通りをどんどん東に辿っていくと、徐々に標高が下がります。つまり、曙橋で水が溢れても、ここで滞留する可能性は低く、市谷の方に流れていく可能性が高いことが分かります。

この地図を活用して、調査対象地だけでなく、周囲の土地の高低も調べましょう。

洪水ハザードマップの見方は以上です。
以前書いた水害に強い立地をお勧めする記事は以下の通りです。参考まで。

安心安全に暮らしたいなら、大水害でも大丈夫な立地を選ぶ
https://goodlife.estate/residence_safety_flood_disaster/
資産性を決定づけるのは“立地条件”です
https://propertyanalysis.jp/location_is_most_important/

 

台風19号により武蔵小杉のタワマンが被害を受けた件で、住民が「こんなこと聞いていない」と憤っているインタビューが流れていましたが、生涯かけて借金を返すような住宅ローンを組み、数千万円の買い物をするのですから、何故、買う前に調べなかったんだろうと思ってしまいます。

浸水リスクを説明しない業者も本当にダメだと思いますが(個人的には提訴されても仕方がないのではと思います)、とことん調べようとしない購入者にも首をかしげたくなります。調査の過程で分からない点があれば、専門家を使ってでも疑問点をできるだけなくしてからハンコを押すべきでしょう。

家は「家族の命と財産を守る」ためのものなのですから、リスクはできる限り明らかにするべきです。

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建物は、資産価値にどのような影響を与えるか?

建物というのは、「資産価値」を測る上でどれくらい大切な存在なのでしょうか。
言うまでもなく、不動産は土地だけではほとんど意味を持ちません。郊外だと資材置き場として使っている土地もありますが、土地だけでは住むことも仕事場としてお客様を呼ぶこともできません。

基本、人が住むとか仕事をするとかいった場合、建物がないと話になりません。ただ、建物自体は、東京で建てようが離島で建てようが、資産価値にはあまり差がありません。(工事費単価が異なるので、差がないことはないのですが、土地のような大きな違いはありません。)

だとすると、建物の資産価値は考えなくてもいいのでしょうか?

通常の状態であれば、建物は経年劣化するという当たり前のことくらいしか考えなくてもいいかもしれませんが、大地震や大型台風による暴風雨を想定すると、どうでしょうか?

壊れる家と壊れない家では、やはり「資産価値」は異なると考えるべきではないでしょうか?

なので、ここでも家は、“家族の命と財産を守る”ものであるという原則から、安全安心度が高い家(建物)を見付けるためのポイントを5つ紹介します。
※ここでは、都区内のマンションを想定します。木造の戸建て等は、更なるチェックを必要としますので、お問い合わせいただくか、インスペクションをお勧めします。

築年

建物の耐震性能が築年によって異なるというのは有名な話なので、ご存じの方も多いと思いますが、この「新耐震」は1981年6月1日以降に建築確認が下りた建物を指します。

気を付けていただきたいのは、「竣工が1981年7月」の建物は新耐震ではないということです。建設工事は、建築確認が下りてから着工しますので、マンションなどの建設に数ヶ月以上かかる建物は、1982年の竣工でも、1月とか2月などの年の前半の竣工だと「新耐震」でないことがありえます。

また、建物というのは、古くなれば劣化します。コンクリートなどは数年経ってからの方が強度が高いといいますが、建物は鉄筋や鉄骨がコンクリートの中にありますので、コンクリートだけでは強度を測れません。コンクリートの中性化や、ヒビからの水の侵入による鉄筋・鉄骨のサビなどもあり得ますし、やはり古い建物は劣化していると考えるのが通常です。

新耐震といっても、古いものでは、築37年です。この間、きちんと建物のメンテナンスをしてきた建物と、修繕を一度もしていない建物とでは、建物の耐震性にも雲泥の差があります。

築年に関しては、「新耐震」を一つの基準としつつ、管理組合の議事録や修繕記録等も確認し、メンテナンスをきちんとしているかどうかも重視しましょう

形状

上述した、建物は経年劣化するという話ですが、この劣化の程度は、建物の形状によって多少異なります。

最近、大通り沿いに、鉛筆を縦に立てたような形状のマンションを見るようになりました。「1フロア1戸の独立タイプ」などと謳っている、部屋が縦に並んでいる建物です。賃貸用に建てられたものが多いですが、中には投資用に分譲されているものもあります。

片や、住宅街には、高くても7,8階くらいまでの高さで、横長のどっしりした形状のマンションがあります。縦に細長い建物と横長のどっしりした形状の建物でしたら、どちらの方が劣化が進みやすいでしょうか?

外壁などはメンテナンス次第の面が大きいですが、耐震性ですと、横長の方が安心です。普通に考えても、鉛筆を机に立てた場合は、揺らすとすぐに倒れますが、消しゴムを横にして置いたものは、よほど大きく揺らさない限り倒れません。風の影響も縦長の方が大きいですし。

建物は、日々、風や地震のたびに揺れ、細かくダメージを受けています。横長のどっしりした形状の建物の方が、特に耐震性という面からは劣化しにくいといえます。

施工会社

マンション建設において「施工会社」は、どれくらい重要でしょうか?

ネット上で「〇〇建設だから手抜きの可能性がある」とか「△△建設は信用できない」等の書き込みを見ることがありますが、結論から言うと、施工会社で建物の良い悪いの判断はできないといっていいでしょう。

ある程度、マンション建設の実績のある建設会社であれば、施工はどこでも一緒だと思っています。スーパーゼネコンだって施工ミスでほとんど完成していた建物を取り壊して再建築といった事態を招いたことがありますし。

どこの建物で手抜き工事があったかなんて、後からはまず分からないと建築士もいっています。となると、施工会社を気にするよりも、このページの他の項目でポイントが高い建物を選ぶべきでしょう。

≪リスクとはいえないが、施工会社について特記する場合≫
当該建物を工事中だと思われる期間に、施工会社が民事再生法等の適用を受けていた場合は、特記しています。これによって、この建物のリスクが高いとは断言できないものの、資金繰りに窮している期間の工事だということはお知らせすべきだと思っています。
また、タワーマンションや大規模開発でもないのに、スーパーゼネコンが施工している場合も、注記します。これは、リスクではないのですが、何か(地盤とかに)リスクがあったから、スーパーゼネコンに頼んだのかなと勘繰ってしまいます。高級マンションでもない限り、建築工事費が割に合わない筈なので(分譲会社には割高で、ゼネコン側には割安で)。

観察減価(目視ができた場合)

建物についてのデータは重要ですが、それと同じくらい大事なのが、現在の建物の状況を自分の目で確認することです。

東日本大震災の直後、建物を見て回りましたが、築5年以内の新しい建物でもヒビが視認できる場合がありました(大抵のマンションはすぐに修繕をしていました)。大きな地震の後でなくても、コンクリートというのは乾燥するとヒビが入るのはよくあることです。ただ、それを放っておくと水が入り、鉄筋が錆びてしまいます。

メンテナンスをきちんとしている建物かどうか、自分の目で確認することが大切です。

≪室内の内見≫
室内の内見も重要です。ただ、注意したいのが、「クロスの張替え工事は売主の方で済ませました。室内、大変きれいになっております。」という営業トークです。
確かに、クロスの張替え工事を買ってから自分が負担するよりはいいような気もしますが、部屋の中の状況は化粧されてしまっていて分からなくなってしまいました。
もしかしたら、北側の部屋には黒カビが発生していたのかもしれません。角部屋のひさしのない窓枠とその周囲のクロスは、雨漏りで変色していたかもしれません。でも、新しいクロスがその全てを覆い隠してしまっているかもしれません。

性能評価書の数値(性能評価書がある場合)

住宅性能表示制度は2000年からスタートしました。これは、構造の安定、劣化の軽減、維持管理・更新への配慮、温熱環境・エネルギー消費量に関することなど、10分野33項目※(新築住宅の場合)の住宅性能について、国土交通大臣の登録を受けた第三者機関である「登録住宅性能評価機関」が評価する制度です。これによって、住宅の客観的な性能評価を知ることができます。

なので、2000年以降に建てられたマンションには「住宅性能評価書」があるはずなのですが、この制度は「任意」なので、中には「住宅性能評価書」を取っていないマンションもあるのです。

「住宅性能評価書」を取れるのに取らないマンション(建物)なんて、何かやましい気持ちからなのでは、と勘繰ってしまいます。

でも、建物って、本当に外から見ても中から見ても分からないことが多いんです。建築士でも既存建物は分からないって話を聞きます。そんなブラックボックスのまま買うのか、少しでも中身の判断材料がある方を選ぶのか、どちらを選ぶのかなんて明らかですよね。

結論

「資産性」を求めるならば、建物は重要です。建物が壊れたら、その分の資産はパァーですから。しかも、マンションの場合、敷地も“共有”のため、建物の建替えや売却といった判断が難しく、本当に「ゼロ(最悪にはマイナス)」になってしまう可能性さえあります。

しかし、大きな地震が来ても絶対に倒壊しない建物、なんて誰にも判断できません。既存建物の評価は本当に難しいです。買ったマンションで手抜き工事があったかどうかなんて、もう運次第といってもいいくらいです。

だからこそ、判断できる部分については、できる限り安全安心度の高い建物を選んでいただきたいと思っています。