カテゴリー
不動産売買契約サポート

不動産取引における重要事項説明書に記載のある法令(41~58)

この項では、(財)全日本不動産協会が作成している「重要事項説明書」に記載のある「都市計画法、建築基準法以外の法令に基づく制限」の土地区画整理法以外の法律についての説明その3です。

「区画整理法」については(というほど詳しく説明していませんが)、こちら。
「都市計画法、建築基準法以外の法令に基づく制限その1(法令2~20)」はこちら。
「都市計画法、建築基準法以外の法令に基づく制限その2(法令21~40)」はこちら。

【注意点1】以下の説明では、法令の大まかなイメージを掴んでもらうことを目的に、正確性よりも「分かり易さ」を優先しています。法令の正確な内容については、改めて調べてください。

【注意点2】不動産取引の目的としては東京都区部にある「中古マンション」の売買を想定しています。都区部以外や土地や戸建ての場合には、更に掘り下げる必要のある法令もあるので、お問い合わせください。

【注意点3】建築に規制をかける法令に関しては「中古マンションの取引にはほとんど関係ありません。」と記載していますが、再建築を視野に入れるほどの築古物件の場合には、土地取引と同等の説明が必要です。

41.土砂災害防止対策推進法

がけ崩れや土石流などの土砂災害から人命を守るために「土砂災害(特別)警戒区域」を指定し、危険の周知、一定の開発行為の制限、建築物の構造規制、既存住宅の移転促進等の対策を行います。

この「土砂災害(特別)警戒区域」は、東京都区部にも沢山あります。東京都が公開している「土砂災害警戒区域等マップ」(上図は当該マップからのキャプチャです。)を見ると、武蔵野台地の端っこの部分が多く指定されていることが分かります。赤い部分が「土砂災害特別警戒区域」、黄色い部分が「土砂災害警戒区域」です。上図の右側に赤い部分や黄色い部分が多数点在していますが、これらは赤坂や麻布などのブランドエリアです。

当サイトでお勧めしている高台がある地域は、その高台と低地との境目が崖になっている場所も多く見られ、そのような箇所は擁壁が設置されていることが多いのですが、築年が古い擁壁などはヒビが入っていて堅牢さに不安があるものも見受けられます。高台を求めつつも、「土砂災害(特別)警戒区域」は避けねばなりません。

42.森林法

森林を守るための法律です。これも、関係あるとしてもマンションを建築する際に制限される法律なので、完成した建物である「中古マンション」の取引の際は影響ありません。

43.森林経営管理法

管理の行き届いていない森林について、市町村が対象森林の経営管理を受託できるようにする法律です。森林を対象とした取引以外には関係ありません。

44.道路法

「道路予定区域」等になっていると、建物を建築することに制約を受けます。これも、建築物を建てる前に効果があるものなので、完成した建物である「中古マンション」の取引においては特に制約はありません。

45.全国新幹線鉄道整備法

その名の通り、全国的に新幹線を整備しよう!という法律です。東京都区部にある「中古マンション」の取引の際に制約を受けることはありません。

46.土地収用法

公共の利益となる事業(道路が多い)に用いるために、その事業区域内の土地の所有権などを強制的に取得することや、そのための要件、手続やそれに伴う損失の補償などについて規定した法律です。

土地収用法の事業認定の告示を受けた起業地(要は、収用されることが決定した土地)は、自分の思うようにできませんので、重要事項説明の対象となっています。中古マンションの場合でも、以前の記事でも触れましたが、敷地の一部を収用されると「既存不適格マンション」となることがあるので、当該法にチェックがある場合、その収用される土地の面積などを詳しく説明してもらいましょう。

47.文化財保護法

東京都区内の不動産の取引でこの法律が関係してくるのは。「埋蔵文化財包蔵地」です。これの範囲内で土木工事等を行う際は、事前に届出が必要です。

これも、関係あるとしてもマンションを建築する前に制限される法律なので、完成した建物である「中古マンション」の取引の際は影響ありません。

48.航空法 (自衛隊法において準用する場合を含む)

この法律は、空港の周辺での、飛行機の安全な離発着等に必要となる建物等の高さ制限を定めたものです。

これも、関係あるとしてもマンションを建築する際に制限される法律なので、完成した建物である「中古マンション」の取引の際は影響ありません。騒音問題は残る可能性はありますが。

49.国土利用計画法

一定の土地取引について、都道府県に届けなければならない旨を定めた法律です。これも、関係あるとしてもマンションを建築する前に届出を求められる法律なので、完成した建物である「中古マンション」の取引の際は影響ありません。

50.核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律

原子力規制委員会が、廃棄物埋設の事業開始前に、廃棄物埋設施設の敷地及びその周辺の区域並びにこれらの地下について一定の範囲を定めた立体的な区域を指定するものとした法律です。指定廃棄物埋設区域内では、土地の掘削は原則禁止です。

東京都区部に該当地域はありません。

51.廃棄物の処理及び清掃に関する法律

事業活動に伴って生じた廃棄物は、事業者が自らの責任において適正に処理しなければならないこと等を定めた法律ですが、不動産取引で関係するのは、廃棄物の最終処分場跡地等が指定されている「指定区域」内の物件であった場合です。

この「指定区域」内やその近隣にある物件には手を出さないようにしましょう。

52.土壌汚染対策法

特定有害物質による土壌汚染の状況の把握し、土壌汚染による人への健康被害を防止するための法律です。当該法により「要措置区域」や「形質変更時要届出区域」に指定されている区域にある物件には手を出さないようにしましょう。

ただ、過去に指定区域であっても、汚染の除去が済めば、指定は解除されます。解除されていても、過去にそういうのに指定されていた土地は嫌だ、という場合には、過去の住宅地図等で地歴を調べた方がいいでしょう。

53.都市再生特別措置法

近年における急速な情報化、国際化、少子高齢化等の社会経済情勢の変化に対応した都市機能の高度化と都市の居住環境の向上を図ることを目的とした法律です。

これも、関係あるとしてもマンションを建築する前に制限される法律なので、完成した建物である「中古マンション」の取引の際は影響ありません。

54.地域再生法

人口減少問題の克服や東京圏への人口集中問題を解決することを目的とした法律です。地方圏の再生を担うことを狙いとしているので、東京都区部の不動産取引の際は関係ありません。

55.高齢者、障害者の移動等の円滑化の促進に関する法律

高齢者、障害者等が自立した日常生活・社会生活を送れるように、公共交通機関や道路を移動する場合や、公園や建物を利用する場合の利便性及び安全性を向上することを目的とした法律です。

当該法でバリアフリー化するために道路や通路等の整備・管理に関して協定をした区域では、バリアフリー化の整備を進めるための一定の制約を受けます。

これも、関係あるとしてもマンションを建築する前に制限される法律なので、完成した建物である「中古マンション」の取引の際は影響ありません。むしろ、当該協定区域内であれば、バリアフリーを大きなメリットとして謳えると思います。

56.災害対策基本法

大災害への対応やそこからの迅速な復旧を行うために制定された法律です。地方自治体は「指定緊急避難場所」および「指定避難所」を指定し、災害時に住民が避難できるようにしています。

この「指定緊急避難場所」および「指定避難所」となっている場所が取引の対象となった場合には重要事項説明が必要となりますが、まずないことだと思います。

57.東日本大震災復興特別区域法

当該区域を「復興特区」とも言ったりします。東日本大震災で被災した地域の一日も早い復興を目指すための法律なので、東京都区部の不動産取引の際は関係ありません。

58.大規模災害からの復興に関する法律

大規模災害からの復興のための特別な措置について定めた法律です。被災した地域の地方自治体が「届出対象区域」を指定し、円滑な復興整備事業を実施しようとするものであり、被災後に関係してくるものなので、大災害の後に、被災地を取引の対象とする場合以外は関係ありません。

【横に逸れた話】
これらの重要事項説明書に記載のある法令の多くは、消費者を守るために制定されたものです。なので、該当する場合には、その法令の内容をよく調べないとなりません。

でも、一般消費者が自分で調べるのは少しハードルが高いです。“少し”としたのは、実は、面倒なだけで難しいことはほとんどないからです。

区役所の受付窓口で「用途地域を調べたい」と伝えれば「都市計画課は〇階です」、「土壌汚染を調べたい」と伝えれば「環境課は〇階です」等と教えてくれます。そして、その物件の所在地を示せば、業者じゃなくても制限される内容を教えて貰えます。

ただ、そもそも「何を調べればいいのか?」から分からない場合も多いですよね。

こう考えると、やはり一番の問題は買主側をサポートするためのバイヤーズエージェント制度が確立されていないことに行き当たります。本来は、買主に相談された業者は、買主に不利な制約がないか、その場所について調査し、不利な契約になっていないか、契約書や重要事項説明書をチェックする必要があります。

現在の不動産仲介の仕組みでは「両手仲介(囲い込み)」を取ったもん勝ちであり、買主だけを押さえても、売主側業者が「両手」を狙っていれば、買付証明書を出しても番手を落とされるので買える可能性が低くなります。そんな商売になるかならないか分からない不安定な状況と分かっていて、買主のためだけに一生懸命調査をする業者はいないですよね。

「両手」を容認する日本の制度の欠陥です。

 

カテゴリー
不動産売買契約サポート

不動産取引における重要事項説明書に記載のある法令(21~40)

この項では、(財)全日本不動産協会が作成している「重要事項説明書」に記載のある「都市計画法、建築基準法以外の法令に基づく制限」の土地区画整理法以外の法律についての説明その2です。

「区画整理法」については(というほど詳しく説明していませんが)、こちら。
「都市計画法、建築基準法以外の法令に基づく制限その1(法令2~20)」はこちら。
「都市計画法、建築基準法以外の法令に基づく制限その3(法令41~58)」はこちら。

【注意点1】以下の説明では、法令の大まかなイメージを掴んでもらうことを目的に、正確性よりも「分かり易さ」を優先しています。法令の正確な内容については、改めて調べてください。

【注意点2】不動産取引の目的としては東京都区部にある「中古マンション」の売買を想定しています。都区部以外や土地や戸建ての場合には、更に掘り下げる必要のある法令もあるので、お問い合わせください。

【注意点3】建築に規制をかける法令に関しては「中古マンションの取引にはほとんど関係ありません。」と記載していますが、再建築を視野に入れるほどの築古物件の場合には、土地取引と同等の説明が必要です。

21.港湾法

文字通り「港湾」の整備や適正な運営等を目的とした法律です。東京都区部の「中古マンション」の取引の際に制約となることはありませんが、「港湾隣接地域」に敷地の一部が掛かっている場合には、建替え等の際に制約を受ける可能性があります。

22.住宅地区改良法

これも、木造住宅密集市街地の解消を目指す法律です。特に老朽した不良住宅が密集している地域で、自主建替えが見込めない場合に適用されることがあります。

住宅地区改良事業が施工されている区域にある不動産の取引の際は、当該事業の内容を説明してもらうことが必要です。ただ、「中古マンション」の取引の際は、当該事業が終了していることがほとんどですから、さほど気にする必要はないと思います。

23.公有地拡大推進法

一定規模以上の土地を売買する場合は、地方自治体に届出をしないとなりません。土地取引の場合に制約される場合のある法律なので、「中古マンション」の取引の際には関係ありません。

24.農地法

「農地」を譲渡する場合には、農業委員会や地方自治体の許可を必要とすることを定めた法律です。「中古マンション」の取引の際には関係ありません。

25.宅地造成等規制法

東京都区部でも、世田谷区や板橋区には「宅地造成工事規制区域」に指定されている区域があります。

当該法は、宅地造成に伴う崖崩れや土砂の流出による災害を防止することを目的とし、宅地造成に伴い災害が生ずるおそれの大きい土地の区域を「宅地造成工事規制区域」として指定することができるとしています。

これも宅地造成工事の際に規制を掛ける法律ですが、当該法の対象となるということは「災害リスクの大きい場所」と言われているようなものなので、当該区域にある物件には原則として手を出すのはやめましょう。

26.マンションの建替え等の円滑化に関する法律

以前は、自分の土地に建物を建てるのは個人(法人)の勝手だろ、とばかりに好き勝手をする輩がいて、景観が損なわれるような事態が生じたもので「規制しよう」となったものです。

なので、これも建築を制限する法律です。この法律により「景観計画区域」等に指定されたエリアは珍しくないですが、「中古マンション」は、建築する際にこの規制をクリアした筈なので、取引の際はほとんど関係ありません。

27.都市公園法

上野恩賜公園や井の頭恩賜公園などが都市公園(都立公園)の典型例です。それ以外の公園も含めて、公園の環境や景観を維持するための法律です。公園内に施設を設ける場合等に地方自治体の許可が必要となります。

これも、関係あるとしてもマンションを建築する際に制限される法律なので、完成した建物である「中古マンション」の取引の際は影響ありません。

28.自然公園法

優れた自然風景を保護するために、各種の開発行為を規制するための法律です。東京都区部に自然公園はありません。

29.首都圏近郊緑地保全法

首都圏の近郊整備地帯において良好な自然の環境を有する緑地を保全するとともに、無秩序な市街地化を防止することで、首都圏の秩序ある発展に寄与することを目的とした法律です。東京都区部に「近郊緑地保全区域」はありません。

30.近畿圏の保全区域の整備に関する法律

これは29の法律の関西版です。

31.都市の低炭素化の促進に関する法律

低炭素化に資する建物を建てて、低炭素建築物と認定されると、延床面積の一部の容積率への不算入が認められたり、税金が軽減されたりする要件や手順を定めた法律です。

当該法の認定を受けた建物は、環境に配慮した造りとなっているでしょうから、プラス要因と捉えていいと思います。

このようなプラス要因となる法律は、普通の仲介業者も説明(アピール?)してくれるでしょうから、説明が漏れる心配は少ないと思います。

32.水防法

水防管理者(地方自治体等)は、洪水浸水想定区域内で、浸水の拡大を抑制する効用があると認められるエリアを「浸水被害軽減地区」として指定できます。
そして、この「浸水被害軽減地区」内において、土地の掘削や土地の形状を変更する行為等をしようとする場合は、あらかじめ水防管理者にその旨を届出しなくてはなりません。

ということは、「浸水被害軽減地区」であっても、洪水浸水想定区域内であるということなので、昨今の“想定外”の頻発を思い起こしても、浸水リスクの高いエリアということになります。原則として当該区域にある物件には手を出すのはやめましょう。

33.下水道法

これはザザッと端折ると、内水氾濫のリスクが高いエリアを「浸水被害対策区域」と指定し、民間の雨水貯留施設も活用して浸水に備えよう、という制度です。

ということは、当該法の適用があり、当該区域に指定されている地域は「浸水リスク」の高いエリアということです。原則として当該区域にある物件には手を出すのはやめましょう。

34.河川法

河川法で指定された区域(河川立体区域等)で、土地の掘削や建物を建てたりする場合には、河川管理者の許可が必要であることを定めた法律です。

これも建てる前の土地に対する制限なので、「中古マンション」の取引の際はほとんど関係ありませんが、「河川立体区域」等に該当している場合には、その場所は河川の流域内であることを認識しましょう。

35.特定都市河川浸水被害対策法

市街化により対策が取りにくく、水害発生時に大きな被害をもたらす可能性のある河川及びその流域を「特定都市河川及び特定都市河川流域」と指定して、雨水を貯留浸透させる努力義務を課し、雨水浸透阻害行為を行う場合に東京都の許可を必要とすることとされています。

東京都では鶴見川及び境川流域が指定されていますが、東京都区部には当該法に指定された区域はありません。

36.海岸法

海岸の保護等を定めた法律です。東京都区部の「中古マンション」の取引の際に制約となることはありませんが、「海岸隣接地域」に敷地の一部が掛かっている場合には、建替え等の際に制約を受ける可能性があります。

37.津波防災地域づくりに関する法律

津波による浸水の想定について、当該法に基づき都道府県が「津波浸水想定」を公表することになっています。なお、当該法により指定される「津波災害警戒区域」及び「津波災害特別警戒区域」とも、東京都に該当区域はありません。

38.砂防法

土砂崩れや土石流を起こしやすい地域の土地を安易に工事し地形を変えると、大地震や豪雨の際に大災害を引き起こしかねません。なので、リスクのある土地を「砂防指定地域」として指定し、宅地の造成や土砂の廃棄等をする場合に、都道府県の許可を必要としています。

都区内に「砂防指定地」に指定されている箇所はありません。

39.地すべり等防止法

地すべり等の被害をなくすために、「地すべり防止区域」を指定して、地下水や地表水に影響を与えるような行為をする場合に、都道府県の許可を必要としています。

都区内に「地すべり防止区域」に指定されている箇所はありません。

40.急傾斜地法

急傾斜地の崩壊による災害を防ぐために、切土・盛土などの一定の行為を制限する法律です。傾斜度30度以上の斜面を「急傾斜地」とした上で、崖崩れや崖崩れが誘発される恐れのある場所を「急傾斜地崩壊危険区域」として指定しています。


東京都建設局のページから拝借した画像

東京都区部にも、当該区域は存在します。要は「リスクのある場所」という意味なので、当該区域内の物件には手を出さないようにしましょう。

【横に逸れた話】
長くなったので41の法律以降は、別ページにします。この21~40には、東京都区部にある「中古マンション」の取引の際でも非常に重要な法律が含まれていましたね。

そもそも、この法律に基づく制限は、重要事項説明書の「前半のハイライト」といっていい箇所です。「住むにはリスクがある場所」であるということを示してくれているので。

例えば、弊社のある新宿区の曙橋でも、地下鉄の駅のすぐ近くに「急傾斜地崩壊危険箇所」があります。これらの危険地帯はホームページでも公開されていますので、是非活用してください。

東京都土砂災害警戒区域等マップ
新宿区ハザードマップ

 

カテゴリー
不動産売買契約サポート

不動産取引における重要事項説明書に記載のある法令(2~20)

この項では、(財)全日本不動産協会が作成している「重要事項説明書」に記載のある「都市計画法、建築基準法以外の法令に基づく制限」の土地区画整理法以外の法律についての説明その1です。

「区画整理法」については(というほど詳しく説明していませんが)、こちら。
「都市計画法、建築基準法以外の法令に基づく制限その2(法令21~40)」はこちら。
「都市計画法、建築基準法以外の法令に基づく制限その3(法令41~58)」はこちら。

 

【注意点1】以下の説明では、法令の大まかなイメージを掴んでもらうことを目的に、正確性よりも「分かり易さ」を優先しています。法令の正確な内容については、改めて調べてください。

【注意点2】不動産取引の目的としては東京都区部にある「中古マンション」の売買を想定しています。都区部以外や土地や戸建ての場合には、更に掘り下げる必要のある法令もあるので、お問い合わせください。

【注意点3】建築に規制をかける法令に関しては「中古マンションの取引にはほとんど関係ありません。」と記載していますが、再建築を視野に入れるほどの築古物件の場合には、土地取引と同等の説明が必要です。

2.古都保存法

日本の古都における「歴史的風土」を保存することを目的とした法律です。この古都には関西の京都市、奈良市等の8市村や神奈川県の鎌倉市、逗子市の計10都市が指定されています。(東京都区部は関係ありません。)
[古都保存法のパンフレット] https://www.mlit.go.jp/common/000221199.pdf

3.都市緑地法

都市における緑地の保全や緑化の推進に関し必要なことを定めた法律です。簡単に端折ると、都市が全く緑のないコンクリート・ジャングルにならないように、公園等の緑を保全するとともに、大規模開発の際に一定量の緑地を残すことを求めたりします。

「緑化地域」に指定されているエリアで、1,000㎡以上の敷地に建物を建てようとする場合は、定められた緑化率を守る必要があります。

以上のような建築を制限する法令です。個人宅の宅地や、中古マンションなどの取引の際は、ほとんど関係ありません。

4.生産緑地法

都市部に残存する農地の計画的な保全を図る法律です。市街化区域で周辺が宅地化された都市部の農家が「畑なのに宅地と同様の固定資産税は払いたくないよ。」と言うので、「きちんと農家をやるなら固定資産税を農地扱いに据え置くよ。」と約束した制度です。

元々「市街化区域」という、文字通り市街化を推進する区域にある農地なので、あくまで特別扱いだよ、と期限が30年と定められました。30年後には宅地扱いにするからね、と。

この生産緑地法が適用されたのが1992年度からであり、ここで指定された生産緑地が約束(指定)から30年後の2022年に大量に“宅地”として供給されるのではないかという恐れが「生産緑地の2022年問題」です。

以上の通り、不動産マーケットには影響が懸念されていますが、中古マンションの売買契約においては、ほとんど関係ありません。

5.特定空港周辺特別措置法

正式名は「特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法」です。名前の通り、特定空港の周辺の航空機の著しい騒音が及ぶこととなる地域に、建物を建てる場合は防音をしっかりすることや、学校・大きな病院・住宅等の建築禁止などが定められいます。

「中古マンション」の取引で、この特別措置法の指定された土地だったら大問題ですが、上述の通り建築を制限する法律なので、実際にはほとんど関係ありません。

6.景観法

以前は、自分の土地に建物を建てるのは個人(法人)の勝手だろ、とばかりに好き勝手をする輩がいて、景観が損なわれるような事態が生じたもので「規制しよう」となったものです。

なので、これも建築を制限する法律です。この法律により「景観計画区域」等に指定されたエリアは珍しくないですが、「中古マンション」は、建築する際にこの規制をクリアした筈なので、取引の際はほとんど関係ありません。

7.大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法

東京都区部などの既成市街地が対象の土地区画整理事業の兄弟のような法律です。不接道や不整形、狭小地等の建築に制限のある土地を集約することで、マンション等の共同住宅を建築することを目的とすることも可能とするための施策です。

これも、マンションを建築する前に適用される法律なので、「中古マンション」の取引の際はほとんど関係ありません。

8.地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律

地方にも人や仕事を分散させるために、地方に活力と魅力ある地域づくりを進めるための法律です。東京都区部エリアの不動産取引の際は関係ありません。

9.被災市街地復興特別措置法

大規模な災害を受けた市街地の復興を推進するための法律です。首都直下地震等が発生したら、東京都区部も当該法の指定を受ける可能性がありますが、現時点での不動産取引の際は関係ありません。

10.新住宅市街地開発法

住宅に対する需要が著しく多い地域において良好な住宅市街地の開発を推進するための法律です。多摩ニュータウン、千葉ニュータウン等の大都市圏の近郊に大規模な住宅市街地を建設するため事業です。

これも、東京都区部の「中古マンション」の取引の際は関係ありません。

11.新都市基盤整備法

大都市の周辺に新都市を整備する必要がある場合の法律です。大都市における人口集中と宅地需要等の緩和が目的なのですが、現時点で施行された事例はありません。

12.旧市街地改造法(旧防災建築街区造成法において準用する場合に限る。)

1969年の都市再開発法の制定に伴い廃止された法律なのですが、廃止される前に施行されていた防災建築街区造成事業については効力が残っているので、重説のリストにも名称が残っています。

これも「中古マンション」の取引の場合は、ほぼ関係ありません。

13.首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律

首都圏の近郊で工業団地造成事業の予定地を定め造成された製造工場等の敷地に制限を掛ける法律ですが、東京都区部は「既成市街地」にあたり当該法の対象となる区域はありません。

14.近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律

13番の法律の近畿版です。東京都区部の不動産取引の際は関係ありません。

15.流通業務市街地整備法

流通機能の向上と道路交通の円滑化を図るために、流通業務施設(トラックターミナル、貨物駅、倉庫など)を整備するための法律です。

東京都区部にも4ヶ所該当する流通業務団地がありますが、「中古マンション」の取引の際はほとんど関係ありません。

16.都市再開発法

東京都区部でもあちこちで再開発が行われていますが、その実施の裏付けとなる法律です。

当該法により、市街地内の老朽木造建築物が密集している地区等において、細分化された敷地の統合、不燃化された共同建築物の建築、公園、広場、街路等の公共施設の整備等を行うことにより、都市における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図っています。

これも建物を建てるときに関わる法律なので、「中古マンション」の取引の際に当該区域だからといって問題となることはありません。

17.沿道整備法

沿道整備道路に指定された幹線道路沿いで、まちづくりのルールである「沿道地区計画」や「建築物の制限に関する条例」が定められると、建物の防音工事や沿道に緩衝建築物を建てる場合に、助成金や負担金を受けることができるという法令です。

既存の住宅も対象となる場合があるので、当該法の適用区域内にあるマンションを取引する際には、当該法の説明をよく受けましょう。

18.集落地域整備法

農業振興地域内にある、都市化が進み、農家と一般住宅が混在する都市近郊の農村集落について、調和のとれた地域整備を行うための法律です。

市街化区域以外であることも要件の一つなので、東京都区部では適用されるエリアはありません。

19.密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律

いわゆる木密(木造住宅密集地域)の改善を目指したものです。ひとたび大地震等が発生すると、狭い路地に木造住宅が密集している地域は大火災を発生させる危険性が高いため、「空地の確保」「防災上有効な道路の整備」「建築物の耐震不燃化」等を推進して、最低限の安全性を確保しようとする法律です。

東京都区部でも実施されている「防災街区整備事業」は、当該法に基づき、密集市街地の防災機能の確保と土地の合理的かつ健全な利用を図るため、老朽化した建築物を除去し、防災機能を備えた建築物および公共施設の整備を行う事業です。

この対象地であっても事業が完了していれば、不動産取引の際に支障となることはありません。

20.地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律

歴史的風致の維持向上と良好な市街地の形成を両立させるための法律です。これに基づく「歴史的風致維持向上地区計画」区域内では、建築の際などに制約を受ける。

これも建物を建てるときに関わる法律なので、「中古マンション」の取引の際に当該区域だからといって問題となることはありません。

【横に逸れた話】
長くなったので21の法律以降は、別ページにします。

ここまで見てきたように、これだけ沢山の法律が羅列されていながら、東京都区部の「中古マンション」(既存建物)の取引の際には、ほとんど影響を与えない法律が多いのです。

このだらだらと列挙する表記方法には、却ってマイナスの効果があると思っています。

重要事項説明書を宅建士が説明する際の一番の問題点は、ただ書いてあることを読み上げるだけであり、実際にはリスク等がある場合でも、その内容を詳しく説明するに至っていない、というところにあります

このリストは、漏れがないようにという配慮なのかもしれませんが、この中に重要な法律が混ざっていても、他の法律に埋もれてしまい、現在の取引(契約)において何が重要な法律で何がいらない法律なのかが、却って見えにくくなっていると感じています。

少なくとも、このリストの下部分の空白に「本物件に関係する法律の詳細な説明」という見出しが必要だと思います。

お客様が色々な法律に目移りしている間に、「こちらの法律は該当します。」とだけ触れてお終い、なんて重要事項説明が目に浮かびます。

 

カテゴリー
不動産売買契約サポート 記事

重要事項説明書の簡単解説! 02

重要事項説明書』のチェックポイントを解説するシリーズの第二弾です。
※第一弾は、こちら

重要事項説明書をチェックする際の注目点

区分マンション向け「重要事項説明書」のチェックポイント(続き)です。
※ 戸建て、土地の場合は、必要な条項等が格段に増えますので、別途ご相談ください。

登記記録に記録された事項(区分所有建物)
ここは、登記事項証明書の内容がそのまま記載されている筈です。

権利部(甲区)

中でも、この権利部(甲区)に所有権以外の権利の記載がある場合は“要注意”です。というより、もし登記事項証明書の甲区に「所有権移転仮登記」や「差押」の登記があるような物件をしれっと売り物にするような業者は、その「仮登記」等の記載のない古い登記事項証明書を添付することが考えられるので、添付される登記事項証明書の取得日が最新かどうかを確認しましょう。

更にいうなら、添付される登記事項証明書をアテにするのではなく、自分でも登記事項証明書を取りましょう。それなら偽造された登記事項証明書を見させられる心配もなくなります。甲区に所有権移転を阻害するような権利がないことを確認することは、不動産取引において、一番基本的で、最も重要なことです。

通常は、買主側のサポートをする業者が最新版を取得し、甲区の権利について確認している筈です。もし、こんな基本的なこともしない業者がいたとしたら、それは本当に付き合わない方がいい業者です。

権利部(乙区)

ここには、古い物件で売主がローンを払い終わっているとか、そもそも現金で購入した等でない限り、「抵当権」の記載があることがほとんどです。そして、この「抵当権」は「残金決済・所有権移転・引渡し」の際に、所有権移転登記と同時に売主の「抵当権抹消登記」がされ、新たに買主の「抵当権」が設定されます。

抵当権」以外の権利の記載がある場合は、業者に質問をして、問題のないことを確認します。

登記記録に記録された事項(土地)

区分所有マンションの場合、ここで問題になることはほとんどありません。区分所有法が施行される前の古いマンションだと変な権利が存在することがありますが、マイナーな話の割に長くなりそうなので割愛します。気になる記載があった場合には業者に確認してください。

ただ、借地権である場合には、その借地権の契約期間について確認が必要です。
※ 借地権マンションについては長くなるので、以前の記事をご覧ください。

都市計画法に基づく制限

ここで改めてですが、本サイトは「東京都区部」の「中古分譲マンション」をターゲットにしている方向けに書いています。なので、「市街化調整区域」等は説明を割愛します。

また、この都市計画法に基づく制限は、建物の建築をする際によくよく確認しないとならない項目なのですが、建替えを想定しない「中古分譲マンション」の売買においては、戸建てや土地の売買と比較すると、あまりリスクを感じないことが多いです。

都市計画施設

但し、敷地の一部が「都市計画道路」に指定されている場合は、注意が必要です。将来、都市計画道路事業が実施されて敷地の一部が道路に収用された場合、敷地が狭くなることで建物が「既存不適格」になることがあります。

容積率オーバーの「既存不適格」建物になってしまうと、将来同じ規模の建物は建てることができないので、建替えは非常に困難になります。

建築基準法に基づく制限

この欄も建物を建築する際に確認を必要とする項目が並んでいます。既に建物が存在する上に建替えはほとんど考慮しない「中古分譲マンション」の場合には、さほど気にする部分はありません。とはいえ、該当した場合には少しだけ気にした方がいい点を以下に触れます。

用途地域

用途地域が商業地域の区域に建つマンションの場合、周辺が騒がしいことがあり、工業地域系の区域の場合、トラックなどの通行が多い場合があるので、現地調査で確認が必要です。

と書いておいてなんですが、商業地域等に限らず、現地調査は必ず複数回行ってください。

建蔽率・容積率

既存建物である中古の場合、気にするのは上述した「既存不適格」になっていないかどうかですが、もし「既存不適格」であるからといっても住めない訳ではありません。デベロッパーが建築確認申請の際に数字をごまかす等の悪行をしていない限り、「既存不適格」だからといって取り壊しを行政から求められることはありませんので。

私道

建物の前の道路が「私道」である場合は、注意が必要です。まずは、その「私道」が第三者の所有ではないかどうか、です。

「私道」の持分をマンションが保有せず、完全に第三者の名義だった場合、車の通行を禁止されたり、通行料を払えと急に言われたりするケースがありえます。

さすがにマンションの接面道路が完全に第三者のものというケースはレアだと思いますが、持分を持っていてもトラブルに巻き込まれることがあります。

持分の全部をもっていない場合に、他の所有者との間で私道の保守管理について協定を結んでいないと、道路の補修や上下水道管の工事等が必要となる度に揉めたり、ハンコ代を要求されたりする可能性があります。

また、持分の全部を保有していても、その私道の保守管理については管理組合の責任となりますので、公道に面したマンションと比較すると、余計な費用が必要となります。これは、管理費や修繕積立金を低く抑えることが難しいことを意味し、その費用が将来に渡って必要となる分、現在価値としての当該マンションの価格は安く計算されることになります。

敷地等と道路との関係

ここも同じです。道路は、建物を建てようとする場合に、非常に大きな影響を与える要素なので、不動産の評価をする際には念には念を入れて調査するのですが、既存建物で建替えを想定しない場合には、都市計画道路や私道に該当しない限り、さほど問題とはなりません。

しかし、築年が非常に古いヴィンテージ・マンションなどの売買の際には、これらの項目について、詳しい説明が必要だと思います。

[愚痴なので飛ばしてくださっても結構です]
この都市計画や道路の部分は、戸建てや土地の取引の際には非常に重要な項目ですが、中古マンションの場合には、問題がある時だけ記載するようにしてもいいと思うのですが。

でも、問題があっても、それを記載せず、説明もしようとしない業者が多かったから、このような仕様にしているんですものね。

結局、不真面目な、詐欺的な業者がいるせいで、真面目に商売している業者の手間が増えてしまうんです。

都市計画法、建築基準法以外の法令に基づく制限

このページに記載されている法令に該当する場合、その制約を受けます。

土地区画整理法

これだけ大きなスペースを取っていますが、「中古マンション」の取引の際にはあまり重要ではありません。確かに土地の取引で区画整理の対象になっている場合は、大きな影響を受けますし、詳細な説明が必要です。ただ、中古マンションの場合、仮に区画整理事業地内にあっても既に建物が建っている状態ですので、換地処分も終わっている状態でしょう。

その他の法令について、全部を説明すると非常に長くなってしまうので、東京都区内で「中古マンション」の取引をする際に該当する可能性のあるものを中心に触れます。
※ その他の法令については、ページ下部のリンク先をご覧ください。

宅地造成等規制法(重要)

当該法にチェックがしてある場合には、取引そのものを見直すことをお勧めするくらい重要な法令です。そもそも、当該法が規制する「宅地造成工事規制区域」にある物件をお客様に勧める買主側業者が信じられません。

災害リスクがある場所だから「宅地造成工事規制区域」に指定しているのであって、昨今の“想定外”のオンパレードをみても、リスクがあると分かっている場所にわざわざ住もうとするのはいかんと思います。

何度も言っていることですが、『住まいは、家族の“命”と“財産”を守るところ』です。リスクが大きいと分かっている場所は、コストパフォーマンスとは切り離して、切り捨てていただきたいと思っています。

マンションの建替え等の円滑化に関する法律

これはマンションであれば、全ての物件に該当します。マンションの建替え等に係る要件や手続きなどを取り決めた法律です。築浅のマンションを購入する際には、あまりピンと来ないかもしれませんが、建物には寿命があるので、早めに買換えを検討する方以外には関わってくる法律です。

水防法・下水道法

これらのどちらかにチェックがある場合、その物件のあるエリアは「浸水リスク」が高いことを意味します。「宅地造成等規制法」と同様、原則として当該区域にある物件には手を出すのはやめましょう。
※ 水防法・下水道法の少しだけ詳細な説明は、こちらの32、33を参照

砂防三法

「砂防法」「地すべり等防止法」「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」の3つをまとめて「砂防三法」といいます。災害から身を守るためには、これらの法律で指定された区域にある物件を選ぶのはやめましょう。

土砂災害防止対策推進法(重要)

都区内にも多く存在する「土砂災害(特別)警戒区域」に引っ掛かる場所にある物件には手を出してはいけません。

「法令に基づく制限」は以上です。これ以外の法令については、別ページにて簡単に説明しています。

「都市計画法、建築基準法以外の法令に基づく制限その1(法令2~20)」はこちら。
「都市計画法、建築基準法以外の法令に基づく制限その2(法令21~40)」はこちら。
「都市計画法、建築基準法以外の法令に基づく制限その3(法令41~58)」はこちら。