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重要事項説明書の簡単解説! 05

重要事項説明書』のチェックポイントを解説するシリーズの第五弾です。

重要事項説明書をチェックする際の注目点

区分マンション向け「重要事項説明書」のチェックポイント(続き)です。(公社)全日本不動産協会が提供している区分所有建物の取引に係る重要事項説明書のテンプレートを基にしています。今回は、「II 取引条件に関する事項」に入ります。

この「II 取引条件に関する事項」に記載されている内容は、≪不動産売買契約書をチェックする際の注目点≫で解説している内容と被る点も多いので、よほど重要だという点以外は省きますので、契約書の解説ページでご確認ください。
※ 戸建て、土地の場合は、必要な条項等が格段に増えますので、別途ご相談ください。

売買代金および交換差金以外に売主・買主間で授受される金銭の額
この欄には指値等をして、交渉した後の金額が記載されることとなりますので、さほど問題となる箇所はないと思いますが、書かれている項目が気になる方もいると思うので、少しだけ触れます。

土地価格・建物価格

売主も個人で、こちらも何も言わなければ、土地価格・建物価格の欄は横棒(-)がひかれていると思います。この内訳は、居住用不動産の購入の際には、特に決めなくても問題はありません。

土地価格・建物価格を別に決めるのは、当該物件を投資家が購入する場合です。投資家は、減価償却をなるべく大きく計上したいために、建物価格を可能な限り高くしてくれるよう依頼してくることが多いです。

また、売主が法人(課税事業者)であった場合には、建物部分に消費税が掛かりますが、その消費税の納税義務は売主なので、購入者は、特に関係ありません。まずないと思いますが、消費税を契約時に上乗せ請求してきた場合には、「支払総額(内税)として、当該売買価格で合意した筈だ。」と突っぱねなければなりません。

[売主が法人の場合の取引における仲介手数料]

仲介手数料の対象となるのは、建物の本体価格であり、消費税の部分は仲介手数料の対象になりません。なので、売主が法人で内税の中古マンションを購入すると、建物の消費税の分、仲介手数料が安くなります。(ごくわずかですが、、、)

交換差金

これは、「売買」ではなく「交換」であった場合の項目です。通常の取引では関係ありません。不動産の「交換」をお考えの場合には、別途注意事項等がありますので、お問い合わせください。

手付金

売買契約のタイミングで手渡します。現金を用意して、と言われると思いますが、現在は土日でも即時に振込みできる場合が多いので、事前に交渉して振込みにするのもいいと思います。

清算金

固定資産税等や管理費等は、引渡日から買主が負担することになります。その清算です。

手付解除

不動産売買契約書は、追加された条項等に注意!02」の第2条で説明しているので、詳しい説明は割愛します。

ここでは、手付解除が「無」になっていた場合には、その理由と、気が変わった場合にはどのようなペナルティを課すのかをよくよく確認しなければなりません。

引渡し完了前の滅失・損傷による解除

不動産売買契約書は、追加された条項等に注意!02」の第9条で説明しているので、詳しい説明は割愛します。

融資利用の特約による解除

不動産売買契約書は、追加された条項等に注意!03」の第17条で説明しているので、詳しい説明は割愛します。

住宅ローンを組んで購入する場合、このいわゆる「ローン条項」は必須なので、「有」にチェックがあることは確認しましょう。

譲渡承諾の特約による解除

不動産売買契約書は、追加された条項等に注意!03」の第18条でも触れていますが、中古マンションの取引ではほとんど問題になることはありません。

修補の遅滞を含む契約違反による解除

不動産売買契約書は、追加された条項等に注意!03」の第15条に記載の通りです。特に、斜め読みしなくてはいけないリスクなどはないので、詳しい説明は割愛します。

反社会的勢力の排除に関する特約に基づく解除

記載の通りです。「不動産売買契約書は、追加された条項等に注意!03」の第16条と同じ内容です。

損害賠償額の予定または違約金に関する事項

こちらも書いてあることは「不動産売買契約書は、追加された条項等に注意!03」の第15条に記載の通りです。波線で消してしまった3の部分は、すぐ上の「反社会的勢力の排除に関する特約に基づく解除」に記載の通りです。

手付金等の保全措置の概要

中古マンション仲介の場合には該当しない条項です。宅建業者が売主、かつ一定額を超える手付金等を買主から受け取る場合に義務付けられている保全措置について記載する欄です。

支払金または預り金の保全措置の概要

この「支払金または預り金」というのは、不動産業者が一時的に預かる金銭のことです。どのようなケースが想定されているというと、売主の住宅ローン残額が売買金額を上回っている場合などで、売主に手付金を預けて、万が一それを使われてしまうと、他で融通してもらった金銭を加えても抵当権を抹消するために必要な額に達しないというということがありうるため、手付金を業者が預からせてもらう場合があるのです。

ただ、この場合の保全措置は任意であるため「講じない」となっている場合がほとんどでしょう。

金銭の貸借のあっせん

ここは、利用する住宅ローンの内容を記載する欄です。不動産業者の提携ローンを利用した場合には、あっせん「有」になります。

[提携ローンはお得?]

提携ローンの方が“得”だと思っている方がいるのですが、提携ローンの一番のメリットは“楽”だと思います。銀行とのやり取りをほとんど不動産業者がやってくれるので、業者の指示通りに資料を用意すれば、ローンOKやNGが出ます。

提携ローンを使うと“楽”である反面、多くの場合「住宅ローン事務代行手数料」等の名目で手間賃を請求されます。また、金利等の面では本当に一番低い金利かどうかは分かりません。不動産業者は、お客様のためにいくつもの銀行を回って一番良い条件のローンを探すなんてことはしません。

付き合いのある、審査の経過等を教えて貰える銀行しか勧めてきません。自分で住宅ローンを調べて比較検討すると、もっと安い金利の商品があったとか、手数料や団信の条件も含めるとこっちの方が“得”だったということは多いです。

“楽”をしたい人には提携ローンがお勧めです。「良い物件を見付ける作業」と一緒で、きちんと自分で調べないと気が済まないという方は、住宅ローンも比較検討するべきです。

担保責任(当該宅地または建物が種類または品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適 合を担保すべき責任)の履行に関する措置の概要

構造耐力上主要な部分(柱、外壁、基礎等)や雨漏り等のトラブルに関して保証する制度(住宅保証機構の「まもりすまい既存住宅保険」)を利用している場合、「講じる」となります。ただ、中古マンションの取引で、ここで「講じる」となっていることはほとんどないと思います。

割賦販売に係る事項

いわゆる「分割払い」ですが、まずないことなので無視していいです。

契約不適合による修補請求

不動産売買契約書は、追加された条項等に注意!02」の第12条で説明しているので、詳しい説明は割愛します。

以上で、重要事項説明書に記載されている項目についての解説を終えます。この下にも、「III その他重要な事項」「IV 添付書類」「V 備考」という欄が続きますが、この「その他」系は重要なので、よく確認してください。

契約書の欄でも書きましたが、標準的な契約にはない項目なので、「その他」系の欄に記載されることになるので。これらの欄に記載されている内容は、当該物件ならではの特別な条項だと思って、注目してください。

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ここまで見てきましたが、読むだけでも大変ですよね。改めて強調しますが、こんなに量があり、しかも業界用語満載の資料を、契約日にいきなり拡げられて、ただ字面を追って読んだだけで「ここに印鑑をお願いします。」と言われて、契約内容を完全に理解できる人なんていないと思います。しかも、理解できないからといって、「イヤイヤ、こんなんじゃ全然分からないよ。」ってちゃぶ台ひっくり返すのも無理筋ですよね。

内容も大事なのですが、一番大事なのは「事前に取り寄せること」だと思います。これだけの量がある資料ですから、契約日の最低でも2日前には取り寄せたいものです。

じっくり内容を確認し、納得がいってから、契約に臨みましょう。

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重要事項説明書の簡単解説! 04

重要事項説明書』のチェックポイントを解説するシリーズの第四弾です。

重要事項説明書をチェックする際の注目点

区分マンション向け「重要事項説明書」のチェックポイント(続き)です。(公社)全日本不動産協会が提供している区分所有建物の取引に係る重要事項説明書のテンプレートを基にしています。今回は、「Ⅰ 対象となる宅地または建物に直接関係する事項」の残りを片付けたいと思います。
※ 戸建て、土地の場合は、必要な条項等が格段に増えますので、別途ご相談ください。

建物状況調査の結果の概要
「建物状況調査(インスペクション)」とは、構造耐力上の安全性や雨漏り・水漏れ等の観点からその建物の状態を確認する調査のことです。

[中古マンションの取引にインスペクションは必要か?]
インスペクションの対象となるのは、
構造耐力上の安全性:基礎の鉄筋の有無、外壁のひび割れ、シロアリ被害等
雨漏り・水漏れ:外壁、屋根など雨水の浸入を防止する部分の劣化・不具合
等です。内装や配管などは対象外なので、中古マンションの取引の際にはあまり関係がありません。

中古マンションの取引で「インスペクション済み!」と自慢気に謳っている広告を見掛けることがありますが、古いマンションの取引の場合、インスペクションよりも配管の状態を確認する方が重要だと思います。構造耐力上の問題や雨漏り等の問題は、マンションの場合、躯体や屋根などの共用部分に関する話になるので、個人で対応するのではなく、管理組合として対応するレベルのトラブルです。内容をよく知らないと、広告に釣られて「おぉ~、良い物件だ!」と飛び付いてしまいそうです。

ただ、専有部分の配管や天井のカビなども調査の範囲に加えてくれている場合には有効です。「インスペクション済み!」の物件の場合、専有部分の配管なども調査してくれているかどうか確認しましょう。

建物の建築および維持保全の状況に関する書類の保存の状況・ 地震に対する安全性に関する書類
ここは、建物の状況を把握するための書類があるのかないのかを明示するためのチェックリストです。

建築確認

家を新築する前にその計画されている建物や地盤が建築基準法に適合しているかどうかを事前に確認することになっています。すぐに倒壊しそうな危険な建物や周辺に迷惑をかけるような建物が建設されるのを防ぐための施策です。その建築確認申請をする際には、建ぺい率や容積率、斜線規制などの用途制限を順守している旨、シックハウス対策や採光を確保している旨などを書類にまとめて提出します。

なので、その書類があれば、この建物は建築基準法に合致したものであるといえる訳です。「建築確認済証」というのは、申請書類に不備はなかったというお墨付きです。

検査済証

家が設計通りに新築され、完成すると完了審査を受けます。そこで問題がなければ「検査済証」が交付されることになります。出来上がった建物が建築基準法に適合しているというお墨付きです。

増改築

増改築を行う際も、建築確認申請→諸々→検査済証という流れが必要となります。その増改築が違法ではないことを証明するための書類です。

建物状況調査

一つ上の項目で内容に触れましたが、その調査書があるかどうかのチェックリストです。

既存住宅性能評価

「既存住宅性能評価」はインスペクションに近いのですが、既存住宅について、全国共通の通信簿を貰うようなイメージです。インスペクションが、個別の評価なのに対し、全国の性能評価を受けた建物と同じ項目で評価を受けることになります。

これを受けているマンションはほとんどありません。この「既存住宅性能評価」により、劣化状況が白日の下にさらされるケースもあり、これを受けているマンションが必ずしも高く評価される訳ではないためです。

ただ、自分たちの建物の現状をキチンと調査しようと同意を取れる管理組合というのは、非常に高く評価できると思います。

建築基準法第12条の規定による定期調査報告の対象である住宅

東京都では、階数5階以上かつ床面積の合計が1,000㎡を超える共同住宅は、この定期調査報告を求められる特殊建築物に該当します。該当すると、定期的な検査(年1回のものと3年に1回のものがある)をして、その結果を所轄の特定行政庁に報告しなければなりません。

この調査報告書を見れば、当該マンションの設備の点検状況や安全対策、躯体や塀などの劣化状況などを把握することができます。

旧耐震

上述した「建築確認済証」が、昭和56年(1981年)6月1日以降に発行されている建物は“新耐震”となります。それ以前の建物は“旧耐震”ということで、地震の強い揺れに対しての対策が取られていることが確認できない建物となります。原則、旧耐震の建物に手を出してはいけません。

ただ、旧耐震でも、耐震改修工事を実施し「耐震基準適合証明書」を取得している建物であれば、地震の際の倒壊リスクが低いだけでなく、住宅ローン減税を受けることができたり、登録免許税や不動産取得税などの減免も受けられます。

「耐震基準適合証明書」を取得している旧耐震時代の建物は、築年だけで安く評価されていることが多いので狙い目かもしれません。

建築確認・検査済証の交付年月日・番号等

上述した内容の書類がある場合、その交付番号等が記載される欄です。

造成宅地防災区域・土砂災害警戒区域・津波災害警戒区域

以前の記事「重要事項説明書の簡単解説! 02」の中の「法令に基づく制限」で触れているので省略します。

25.宅地造成等規制法
41.土砂災害防止対策推進法
37.津波防災地域づくり法

石綿(アスベスト)使用調査の内容

アスベストというと古い建物というイメージがあると思いますが、実は2006年以前の建物だとアスベストが含まれた建材を使用している可能性が否定できません。2006年にアスベストの含有基準が厳しくなり、それ以前は認められていたごく少量のアスベストも禁止となったためです。

1975年以前は、夢の素材だと思われていて、建材に大量に使用されていたので、この点からもあまり古い建物はお勧めできません。日本でアスベストの使用等が厳しく規制された1995年以降の建物なら、アスベストを大量に使用しているということは考えにくくなっています。

ただ、アスベスト建材が使用されている建物でも、居住する分には特段問題はないと言われています。普通に生活している分にはアスベストは飛散しない可能性が高いので。将来、建物の解体等をするときの工事費が非常に高額になる可能性があるというリスクと捉えていただければ。

耐震診断の内容

耐震診断をしたかどうかを説明するための欄です。ただ、ここではいわゆる“旧耐震”の建物の場合に説明すべきとされています。

しかし、“新耐震”でも、地盤が悪い場所に建つ縦に細長い形状の建物(ペンシルビル)などは、築15年~20年経過してから耐震診断をすると、多くの場合「耐震改修(補強)工事を要する」という診断が出されるという話を聞いたことがあります。

“新耐震”ならフリーパスという考えには同意しかねます。建物の形状や、その建物が存する土地の地盤などによっては、“新耐震”の建物でも「耐震診断」を促した方がいいと思っています。

住宅性能評価を受けた新築住宅である場合

ここも疑問の残る欄です。「新築住宅」の場合に、性能評価書の有無を記すことになっていますが、新築分譲時に性能評価書を取っていたマンションを、例えば築後15年経ってから購入する場合でもその「性能評価書」は充分参考となる資料であり、存在する場合には絶対に入手したいものです。

ここの欄は、「性能評価書」の有無をチェックし、それから、新築時の「設計」「建設」なのか、築年が経ってから取得した「既存」なのかのチェックを入れるようにして欲しいです。

築年が経ってから新築時の性能評価書を貰っても意味がないという人はいないと思うのですが。売ろうとする業者側からは、新築時の性能を保っていると誤解されると嫌だから交付したくないという意見が出るのは分かりますが。→ それは、きちんと重要事項“説明”すれば済むと思います。

以上で、重要事項説明書の前半部分である「Ⅰ 対象となる宅地または建物に直接関係する事項」は終了となります。後半部分である「Ⅱ 取引条件に関する事項」は契約書に記載された内容と被る部分が多いので、契約書では説明しきれなかったことや契約書になかった項目等を補足する内容でお届けしたいと思います。

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重要事項説明書の簡単解説! 03

重要事項説明書』のチェックポイントを解説するシリーズの第三弾です。

重要事項説明書をチェックする際の注目点

区分マンション向け「重要事項説明書」のチェックポイント(続き)です。
※ 戸建て、土地の場合は、必要な条項等が格段に増えますので、別途ご相談ください。

対象不動産に含まれる私道に関する負担の内容
重要事項説明書の簡単解説!02」でもふれました建物の前の道路が「私道」である場合は、注意が必要です。そして、ここでは、その「私道」を対象不動産に含まれるか否かの2つに分けて説明しています。

「対象不動産に含まれる私道」というのは、物件チラシに「面積:150㎡(但し、私道部分を含む)」と記載があるような場合の“私道”です。

なので、この項目は、自分の所有権になっている土地の一部が私道として使用されている場合の、その“私道”について説明することになります。

そして、その私道の所有権を複数で持ち合っている場合、その持分割合や保守管理に関する協定の有無、保守管理に要する分担金の有無や金額が記載されます。

この保守管理に関する協定がない場合、道路の補修や上下水道管の工事等が必要となる度に揉めたり、ハンコ代を要求されたりするトラブルに巻き込まれる可能性があります。

また、持分の全部を保有していても、その私道の保守管理については管理組合の責任となりますので、公道に面したマンションと比較すると、余計な費用が必要となります。これは、管理費や修繕積立金を低く抑えることが難しいことを意味し、その費用が将来に渡って必要となる分、現在価値としての当該マンションの価格は安く計算されることになります。

[中古マンションの取引では、ないと言っていいレベルの話なので読み飛ばしてくださっても結構です]
私道部分がある場合、その私道部分の上に建物を建てることはできない上に、その私道部分の面積は、建物を建築する際の容積率や建ぺい率の算定面積から除外する必要があります。
 私道が、「建築基準法上の道路」でない場合には、容積率等の制限を受けません。ただ、前面道路が「建築基準法上の道路」でない場合、その土地は未接道(無道路地)となり、建物を建てることができません。このケースは中古マンションの取引では、ないといっていいレベルの話ですが、土地や戸建ての取引の際には、大いに気を付けなければいけないポイントです。

対象不動産に含まれない私道に関する事項
「対象不動産に含まれない私道」というのは、前面道路の持分をマンションが保有せず、完全に第三者の名義である場合を指し、車の通行を禁止されたり、通行料を払えと急に言われたりするケースがあるので、説明する必要があるのです。

また、「私道」の所有権を持分割合ではなく、私道の一部分につき各々が所有権を持つという形態の場合、自分の所有権以外の「私道」部分については、この項目で説明することになります。(レアなケースなので図解は省略します。気になる方はお問合せください。)

さすがにマンションの接面道路が完全に第三者のものというケースはレアだと思いますが、古いマンションだとデベロッパーが道路(位置指定道路)の所有権を持っていたものの、その後、倒産し、他の会社に道路の所有権が移行した、という非常に面倒なケースがありえます。(そんな物件は掴まされないようにしましょう。)

飲用水・電気・カズの供給施設および排水施設の整備状況
これは中古マンションの取引の際には、問題となることの少ない項目ですが、電気事業者にこだわりがある人は、要チェックかもしれません。マンションの管理組合が「高圧一括受電契約」をしている場合は、電気事業者の変更をすることができません。

上下水道についても、私設管を敷設している場合には、その内容が記載されます。

宅地造成または建物建築の工事完了時における形状・構造等

「中古マンション」の取引を想定しているので省略します。

建物に関する権利の種類及び内容

この項目でのポイントは「敷地の権利が所有権か否か」「敷地面積は分譲時と変化がないか」の2点です。

所有権か否か

一棟の建物が存する敷地に関する権利が「所有権」であれば、特に問題はありません。「借地権」や「地上権」である場合、土地の固定資産税が掛からない代わりに「地代」が必要となります。また、借地権等の契約期間が満了した場合に「建物を取り壊して更地にして返還」が必要かどうかも要確認です。
【参考】「定期借地権マンション」は嫌いですか?

敷地面積は分譲時と変化がないか

敷地の一部が都市計画道路に取られて敷地面積が減少している場合、建物が「既存不適格」となり建替えが困難になる場合があります。レアなケースですが、知らずに買うと「ババ抜きのババ物件を掴まされた!」と後悔することになります。

共用部分に関する規約等の定め

「共用部分の範囲」は、「別添管理規約をご参照ください。」となっていることが多いと思います。共用部分は、売買対象部分ではないのであまり興味がないという人がいますが、住民の10分の1も利用していないフィットネスクラブや、維持費が高額な噴水などがあると、維持管理に関する住民間の意見の衝突が生じることがあります。

また、「共用部分の持分割合」は通常「専有部分の床面積割合」ですが、規約の変更(議決権の4分の3の賛成が必要)により別の基準を設けることもできます。各戸平等に戸数で案分するということもできます。わざわざ規約の変更を行った場合には、その理由もヒアリングしたいものです。

専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約等の定め

管理規約や使用細則に記載されている内容のうち、トラブルになりがちな重要な部分につき、抜き出しています。「用途制限」というのは、事務所使用はNG等が定められている場合です。オートロックの内側にある専有部分が事務所や店舗として使用されていると、不特定多数の人がマンションに出入りすることになり、治安面で不安が生じます。

ペットや楽器は説明の必要がないと思いますが、「フローリングの制限」というのは、特に古いマンションで床がカーペットである部屋をフローリングにリフォームすると、下階の人から音がうるさいとクレームを受けることがあります。そのため、フローリングに変更する場合には、防音等の必要な措置を講じるよう義務付けている管理組合があります。

一棟の建物およびその敷地の専用使用権について

専用使用権というのは「共用部分等を専用として使用できる権利」です。バルコニーや玄関扉・窓枠・窓ガラス等で使用料を取られるというのは聞いたことがないですが、その下からは専用使用料を徴収されることが通常です。

ここでは、売買対象になっている専有部分に関わらず、マンション全体として「専用使用権」に該当するものが全て記載されています。書いてある通りなので、よく確認しましょう。

対象不動産に付随する専用使用権について

上の項目との違いがよく分からないと思いますが、この「対象不動産に付随する」というのは、この部屋を売買した場合に、買主にそれを使用する権利が自動的に承継されるということを意味します。

バルコニーや玄関扉・窓枠・窓ガラスの使用権が自動的に承継されないとおかしいですよね。部屋は売ったけれど、玄関扉は使えません、なんて。

専用庭やルーフバルコニーが付いている部屋とか、たまに見掛ける「駐車場の専用使用権付き」と表示のある物件などは、この項目にその付随する専用使用権を追記することになります。

所有者が負担すべき費用を特定の者にのみ減免する旨の規約等の定め

竣工後間もないマンションなどで、いわゆる売れ残り住戸がある場合、それらの住戸に係る管理費等はデベロッパーが負担しなくてはならないのですが、規約で減免する旨定めておけば負担の必要はありません。

そのようなケースに当てはまる場合、ここに内容が記載されます。

計画修繕積立金等に関する事項

将来的なマンションの価値を決めるといっても過言ではない「修繕積立金」について、簡単にまとめてあります。

計画修繕積立制度

かなり古いマンション以外「有」にチェックが入っていると思います。修繕積立金の額だけでなく、「段階増額方式」なのか、それとも「均等積立方式」なのかについても確認しましょう。
【参考】「マンションは管理を買え」というけれど、具体的なチェックポイントは?

すでに積み立てられている額

マンションは大規模修繕工事を12年~15年ほどの周期で行います。例えば、築10年もしくは築22年のマンションの購入を検討していて、この「すでに積み立てられている額」が心もとない場合、購入してすぐに修繕一時金を徴収される可能性を考えましょう(というか、その可能性をヒアリングしましょう)。

大規模修繕工事を済ませたばかりのときは、当然、この額は少なくなっています。

滞納

専有部分に滞納がある場合、購入した人がその滞納額を返済する義務を負います。というか、売主が滞納しているのなら、その分価格を下げるという話になります。

滞納が専有部分じゃない、と言っても安心はできません。当該一棟の建物に係る滞納額が多額になってくると、大規模修繕工事の時期が来ても、費用が足りずに工事ができないなんてことになりかねません。必要な工事ができなければ、建物の劣化は早まり、ゴーストマンションと化す恐れもあります。

当該一棟の建物に係る滞納額は回収の見込みがあるのか、ヒアリングが必要となります。

通常の管理費用の額

「マンションは管理で買え」と言われるくらいなので、管理は大事です。でも、管理費が高いから「管理が良い」と比例する訳でもないのが難しいところです。

これに関しては、管理費の高い・安いよりも、管理組合で管理について議論がされているか否かを重視して頂きたいと思っています。きちんと議論した上で、高くても平均点の高いデベロッパー系列の管理会社を使おうとなっているのならOKでしょう。また、自分たちでも当番制で多少の管理を分担する代わりに管理会社にお願いする仕事を減らして管理費を削減すると決めているとしたら、それも素晴らしいと思います。

「管理」は、管理組合(区分所有者たち)がきちんとコミュニケーションをとれていることが一番重要です。古くても管理が行き届いているマンションは、まず間違いなく管理組合がしっかりしています。

滞納については、修繕積立金と同様です。一部の人が払わなくなると、必要な管理費用を残りの人で分担せざるを得ず、管理費の値上げを余儀なくされることがあります。こちらも、滞納額は回収の見込みがあるのか、ヒアリングは必須です。

管理組合の名称および管理の委託先

上で触れたように、管理で一番大切なのは管理組合のコミュニケーションなので、基本、書いてある内容を読めば足りるのですが、「管理の形態」は重要です。

多くのマンションは「全部委託管理」になっていると思います。ほとんどの管理業務を管理会社に委託する方式です。

「一部委託管理」だと業者任せにせず、管理組合ができる部分を自分たちで行っているので、別の言い方をすると、管理組合(区分所有者)の負担が大きな管理方式です。「自主管理」は、古いマンションだとたまに見掛けますが、管理会社に管理業務を委託せず、自分たちで管理をする方式です。管理費の滞納が増えて、管理会社への業務委託費が払えなくなっての自主管理というケースもあります。

建物の維持修繕の実施状況の記録

ここは修繕をした“記録”があるかどうかを記載する項目です。別の言い方をすると、“記録”がなければ、リフォームをしているだろう!と明らかに分かるようなケースでも、ここでは「無」にチェックが入ってしまいます。

なので、ここで「無」になっていても、現地調査(内見)の際にリフォームの形跡を見付けたら、しっかりとヒアリングしましょう。

その他

「特約」と同様、こういう「その他」にわざわざ記載されている項目は、標準的なものではなく、このマンションならではの取り決めであることがあるので、要チェックです。

⇒ まだまだ先は長いので、続きは、別ページにします。