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建物は、資産価値にどのような影響を与えるか?

建物というのは、「資産価値」を測る上でどれくらい大切な存在なのでしょうか。
言うまでもなく、不動産は土地だけではほとんど意味を持ちません。郊外だと資材置き場として使っている土地もありますが、土地だけでは住むことも仕事場としてお客様を呼ぶこともできません。

基本、人が住むとか仕事をするとかいった場合、建物がないと話になりません。ただ、建物自体は、東京で建てようが離島で建てようが、資産価値にはあまり差がありません。(工事費単価が異なるので、差がないことはないのですが、土地のような大きな違いはありません。)

だとすると、建物の資産価値は考えなくてもいいのでしょうか?

通常の状態であれば、建物は経年劣化するという当たり前のことくらいしか考えなくてもいいかもしれませんが、大地震や大型台風による暴風雨を想定すると、どうでしょうか?

壊れる家と壊れない家では、やはり「資産価値」は異なると考えるべきではないでしょうか?

なので、ここでも家は、“家族の命と財産を守る”ものであるという原則から、安全安心度が高い家(建物)を見付けるためのポイントを5つ紹介します。
※ここでは、都区内のマンションを想定します。木造の戸建て等は、更なるチェックを必要としますので、お問い合わせいただくか、インスペクションをお勧めします。

築年

建物の耐震性能が築年によって異なるというのは有名な話なので、ご存じの方も多いと思いますが、この「新耐震」は1981年6月1日以降に建築確認が下りた建物を指します。

気を付けていただきたいのは、「竣工が1981年7月」の建物は新耐震ではないということです。建設工事は、建築確認が下りてから着工しますので、マンションなどの建設に数ヶ月以上かかる建物は、1982年の竣工でも、1月とか2月などの年の前半の竣工だと「新耐震」でないことがありえます。

また、建物というのは、古くなれば劣化します。コンクリートなどは数年経ってからの方が強度が高いといいますが、建物は鉄筋や鉄骨がコンクリートの中にありますので、コンクリートだけでは強度を測れません。コンクリートの中性化や、ヒビからの水の侵入による鉄筋・鉄骨のサビなどもあり得ますし、やはり古い建物は劣化していると考えるのが通常です。

新耐震といっても、古いものでは、築37年です。この間、きちんと建物のメンテナンスをしてきた建物と、修繕を一度もしていない建物とでは、建物の耐震性にも雲泥の差があります。

築年に関しては、「新耐震」を一つの基準としつつ、管理組合の議事録や修繕記録等も確認し、メンテナンスをきちんとしているかどうかも重視しましょう

形状

上述した、建物は経年劣化するという話ですが、この劣化の程度は、建物の形状によって多少異なります。

最近、大通り沿いに、鉛筆を縦に立てたような形状のマンションを見るようになりました。「1フロア1戸の独立タイプ」などと謳っている、部屋が縦に並んでいる建物です。賃貸用に建てられたものが多いですが、中には投資用に分譲されているものもあります。

片や、住宅街には、高くても7,8階くらいまでの高さで、横長のどっしりした形状のマンションがあります。縦に細長い建物と横長のどっしりした形状の建物でしたら、どちらの方が劣化が進みやすいでしょうか?

外壁などはメンテナンス次第の面が大きいですが、耐震性ですと、横長の方が安心です。普通に考えても、鉛筆を机に立てた場合は、揺らすとすぐに倒れますが、消しゴムを横にして置いたものは、よほど大きく揺らさない限り倒れません。風の影響も縦長の方が大きいですし。

建物は、日々、風や地震のたびに揺れ、細かくダメージを受けています。横長のどっしりした形状の建物の方が、特に耐震性という面からは劣化しにくいといえます。

施工会社

マンション建設において「施工会社」は、どれくらい重要でしょうか?

ネット上で「〇〇建設だから手抜きの可能性がある」とか「△△建設は信用できない」等の書き込みを見ることがありますが、結論から言うと、施工会社で建物の良い悪いの判断はできないといっていいでしょう。

ある程度、マンション建設の実績のある建設会社であれば、施工はどこでも一緒だと思っています。スーパーゼネコンだって施工ミスでほとんど完成していた建物を取り壊して再建築といった事態を招いたことがありますし。

どこの建物で手抜き工事があったかなんて、後からはまず分からないと建築士もいっています。となると、施工会社を気にするよりも、このページの他の項目でポイントが高い建物を選ぶべきでしょう。

≪リスクとはいえないが、施工会社について特記する場合≫
当該建物を工事中だと思われる期間に、施工会社が民事再生法等の適用を受けていた場合は、特記しています。これによって、この建物のリスクが高いとは断言できないものの、資金繰りに窮している期間の工事だということはお知らせすべきだと思っています。
また、タワーマンションや大規模開発でもないのに、スーパーゼネコンが施工している場合も、注記します。これは、リスクではないのですが、何か(地盤とかに)リスクがあったから、スーパーゼネコンに頼んだのかなと勘繰ってしまいます。高級マンションでもない限り、建築工事費が割に合わない筈なので(分譲会社には割高で、ゼネコン側には割安で)。

観察減価(目視ができた場合)

建物についてのデータは重要ですが、それと同じくらい大事なのが、現在の建物の状況を自分の目で確認することです。

東日本大震災の直後、建物を見て回りましたが、築5年以内の新しい建物でもヒビが視認できる場合がありました(大抵のマンションはすぐに修繕をしていました)。大きな地震の後でなくても、コンクリートというのは乾燥するとヒビが入るのはよくあることです。ただ、それを放っておくと水が入り、鉄筋が錆びてしまいます。

メンテナンスをきちんとしている建物かどうか、自分の目で確認することが大切です。

≪室内の内見≫
室内の内見も重要です。ただ、注意したいのが、「クロスの張替え工事は売主の方で済ませました。室内、大変きれいになっております。」という営業トークです。
確かに、クロスの張替え工事を買ってから自分が負担するよりはいいような気もしますが、部屋の中の状況は化粧されてしまっていて分からなくなってしまいました。
もしかしたら、北側の部屋には黒カビが発生していたのかもしれません。角部屋のひさしのない窓枠とその周囲のクロスは、雨漏りで変色していたかもしれません。でも、新しいクロスがその全てを覆い隠してしまっているかもしれません。

性能評価書の数値(性能評価書がある場合)

住宅性能表示制度は2000年からスタートしました。これは、構造の安定、劣化の軽減、維持管理・更新への配慮、温熱環境・エネルギー消費量に関することなど、10分野33項目※(新築住宅の場合)の住宅性能について、国土交通大臣の登録を受けた第三者機関である「登録住宅性能評価機関」が評価する制度です。これによって、住宅の客観的な性能評価を知ることができます。

なので、2000年以降に建てられたマンションには「住宅性能評価書」があるはずなのですが、この制度は「任意」なので、中には「住宅性能評価書」を取っていないマンションもあるのです。

「住宅性能評価書」を取れるのに取らないマンション(建物)なんて、何かやましい気持ちからなのでは、と勘繰ってしまいます。

でも、建物って、本当に外から見ても中から見ても分からないことが多いんです。建築士でも既存建物は分からないって話を聞きます。そんなブラックボックスのまま買うのか、少しでも中身の判断材料がある方を選ぶのか、どちらを選ぶのかなんて明らかですよね。

結論

「資産性」を求めるならば、建物は重要です。建物が壊れたら、その分の資産はパァーですから。しかも、マンションの場合、敷地も“共有”のため、建物の建替えや売却といった判断が難しく、本当に「ゼロ(最悪にはマイナス)」になってしまう可能性さえあります。

しかし、大きな地震が来ても絶対に倒壊しない建物、なんて誰にも判断できません。既存建物の評価は本当に難しいです。買ったマンションで手抜き工事があったかどうかなんて、もう運次第といってもいいくらいです。

だからこそ、判断できる部分については、できる限り安全安心度の高い建物を選んでいただきたいと思っています。