記事

「マンションは管理を買え」というけれど、具体的なチェックポイントは?

「マンションは管理を買え」とはよく言われます。

管理の悪いマンションは、
1.外壁のヒビから水が浸入し、コンクリートの中の鉄筋が錆びる。→耐震性が落ちる。
2.掃除が行き届かなくなり、清潔感がなくなる。→高く売れなくなる。
3.民泊に貸すオーナーや風俗関係に貸すオーナーが現われる。→騒音・治安の問題発生
4.大規模修繕や建替え等の合意が得られず、廃墟マンションとなる。
等々の可能性があります。

では、「マンションを管理で買う」ためには、どんなポイントをチェックしなければならないのでしょうか?
※管理組合の議事録や修繕計画書等は、提示のあった場合に、それをチェックします。買付証明書を入れたら、すぐに貰ってください。

管理費及び修繕積立金の額

管理費や修繕積立金には、公開されている相場があります。国土交通省がまとめた「マンションに関する統計・データ」では、次のような金額となっています。

東京圏にあるマンションの管理費は平均でm2当たり179円(使用料・専用使用料からの充当額を除く)です。80m2の部屋なら14,320円前後ということです。

同じく東京圏にあるマンションの修繕積立金は平均でm2当たり196円(使用料・専用使用料からの充当額を除く)です。80m2の部屋なら15,680円前後ということです。

この数字は、築年もグレードも立地もごっちゃまぜの平均ですので、共用施設が豪華なタワマンや閑静な住宅地にある高級マンションなどでは高くなりますし、小規模なマンションも比較的高くなる傾向があります。個々のマンションで違いはありますが、参考にすべき数値として、管理費も修繕積立金もm2当たり200円ほどだということは気に留めておくといいと思います。

管理費に関しては、デベロッパー系列の管理会社でもないのに相場より高い管理費を取るマンションだと、管理組合があまり活発ではなく、管理会社の言いなりなのかもしれないという懸念が生じます。

修繕積立金に関しては、相場より安い場合には、
1.管理組合が機能せず、積立金の増額を決められず、修繕等ができるなくなる可能性のあるマンション
2.築年が比較的浅い場合の、初期の積立額を抑え段階的に値上げする「段階増額積立方式」のマンション
3.大規模修繕時 においては一時金の徴収等を併用することにしているマンション
の可能性が考えられます。

勿論、であったら最悪です。修繕積立金が安いのは、である場合が多いです。ただ、「多い=みんなが採用している=安心」とは言えません。こういうマンションは、大規模修繕工事の時期に値上げを図ることが多いので、築12年のマンションを買って入居したら、翌年から修繕積立金が1.5倍に跳ね上がった、なんてことは珍しくありません。

の一時金の徴収は、分譲時に「修繕積立基金」という名目で修繕積立一時金を徴収する形式です。これは、修繕費用として貯蓄されていますので、第1回目の大規模修繕工事くらいまでは、この貯蓄と分譲当初の安い修繕積立金で賄えます。ただ、多くは、2回目の大規模修繕工事の際には枯渇していますので、結局修繕積立金の値上げが必要になります。また、「修繕積立基金」もないのに「一時金」の併用というのは、単に大規模修繕工事をやろうとなったら「工事費が足りない!」となり「なので一時金を集めます」となるパターンです。なので、相場よりかなり安い修繕積立金のマンションは、(特に2回目以降の)大規模修繕工事の際に大幅に修繕積立金が値上げされるか一時金を徴収されるリスクがあると考えてもいいかもしれません。

比較的築浅の建物なのに修繕積立金が相場より高い場合は、計画期間中均等に積み立てる「均等積立方式」である可能性があります。これは、管理組合が先のことまできちんと考えて導入したということ(最初から均等積立方式のマンションはほとんどありません)なので、好感が持てます。長く住もうと思うなら、均等積立方式を採用しているマンションは1つのメリットと考えてもいいと思います。

築年が古い建物で、修繕積立金が高い場合は、段階増額積立方式で建物が新しかったうちは安い修繕積立金だったのが、大規模修繕工事を賄えず値上げした後だと推測できます。

全体最適を考えないのであれば、一番得なのは、築浅の段階増額積立方式のマンションを買い、大規模修繕工事の前に売却するというパターンです。

ただ、段階増額積立方式も悪いとは思いません。建物が新しいうちは修繕する箇所も少なく、古くなると修繕が必要となります。そういう観点からすると、建物の状況に合わせた修繕積立金の額だと言えるかもしれません。

これも、購入するマンションがどの積立方式なのかをきちんと把握することがまずもって必要です。その上で、その良し悪しを踏まえて、購入の判断の1つのピースにするべきです。購入を検討している物件が段階増額積立方式であり、すぐに値上げが予定されているようだったら、売買価格の値下げ交渉の材料にするとか。売買価格の値下げが、修繕積立金の増額に見合えば、何も問題はないので。

管理人の勤務形態(常勤、日勤等)

管理組合は、日常の建物の管理業務を管理会社に委託することがほとんどです。そして、その管理会社から派遣されてくるのが「管理人」です。エントランスの受付に座っていたり、ゴミ出しをしたり、掃除をしたりといった日常業務をこなす役割を担っています。

この管理人の勤務形態は、
1.常勤
2.日勤
3.巡回
に分かれます。(この分類事態、きちんと統一された基準がないのですが。ここではこの3つとします。)

1.常勤
「住み込み」やシフト制により常に管理人がいるような管理形態です。これが理想ですが、当然、管理費は高くなるので、管理人を常勤にできるのは高級マンションか大規模なマンションくらいです。

2.日勤
毎日、管理人が通ってくる管理形態です。ただ、ここも用語の定義が業界で統一されている訳ではないので、一日のうち何時間管理をしているかということについては、マンションごとに異なります。

3.巡回
ゴミ出しの曜日だけ来て、掃除やら共用設備のメンテナンスを多少やっていくといった管理形態です。これもはっきりと定義がないのですが、巡回の場合、他のマンションと1日に複数掛け持ちする場合もあるようです。

エントランスの入口に受付があるようなマンションですと、小学生の子供の帰宅時間には管理人がいると安心ですよね。自分や家族の日常の生活を想定し、どのような管理形態まで妥協できるか、家族で一度話し合うといいと思います。

管理組合の評価

管理組合が活発か、まともな運営をしているのか、はどこを見れば分かるでしょうか。

残念ながら、これは外形では分かりません。買付証明書を入れるなどしてから、管理組合の理事会議事録や総会議事録、長期修繕計画(大規模修繕計画)等を取り寄せ、それを吟味することである程度推測できます。

具体的には、
総会の出席状況:マンション住民の関心度合いが分かります。
理事や理事長の選任方法:やる気のある方が続けられる仕組みか。逆に、同じ人が何年も理事長を務めているというのはリスクもあります。(長年務めていても、公正明大な経理をし、それが組合員に公開されていれば問題ありません。)
管理費の滞納戸数や滞納総額:日常の管理に支障があるほどの滞納があり、それを回収できる見込みがないと他の居住者が割を食う場合があります。
長期修繕計画:先々のことをシミュレーションした上で、修繕積立金等について議論をしているか。
町会・自治体との共存共栄:防犯や防災は、マンション単体では限界があります。

等々を読み取ります。

≪築浅マンションの管理組合≫
築浅マンションだと、修繕もほとんど必要ないですし、デベロッパー系列の管理会社がそつなく管理している限り、管理組合で何か問題提起される可能性は低いです。そういうマンションの管理組合総会議事録を見ても、特に何もなかったりします。(何もないというのは、話し合いがないという意味ではなく、通常業務の報告的なものだけという意味です。)
なので、築浅マンションの管理組合を評価するのは難しいです。大規模修繕工事を一度くらいは経験してからの方が管理組合は動き出すので。
逆に言えば、購入者が自分のこととして、管理組合を活発化させるチャンスがあるかもしれません。

長期修繕計画の評価

前稿でも触れましたが、定期的にきちんとメンテナンスをしている建物と、修繕について同意をまとめることができずにまともな修繕をしたことのない建物とを比較した場合、築20年以上の建物は見た目で歴然とその差が分かると思います。

長期修繕計画というのは、将来予定される大規模修繕工事のスケジュールです。そもそも、この計画がないマンション(古いマンションだとたまにあります)には、手を出さない方がいいでしょう。大規模修繕工事となる度に多額の一時金を徴収される可能性もあります。

この長期修繕計画は、大きな地震等がない限り、15年周期くらいで大規模修繕工事をやることになっていると思います。長期修繕計画も買付証明書を出してからでないと貰えないことがほとんどだと思いますが、できるだけ早く取り寄せて、以下の点をチェックしましょう。

●「長期修繕計画作成ガイドライン」に則っているか?
→このガイドラインは、国土交通省がまとめたものです。マンションごとに項目もバラバラで比較するのが難しかった「長期修繕計画」の様式の統一化を図ったものです。このガイドラインに則っていない「長期修繕計画」である場合、何かやましいことがあるのかもしれません。

●躯体だけでなく、設備も“計画”に含まれているか?
→例えば、エレベータは20年~25年で更新が必要と言われています(30年くらいまで引っ張る事例もよく見掛けますが)。エレベータの更新となると1,000万円ほど掛かることも珍しくないので、計画にないと更新費用が足りずに一時金の徴収ということになりかねません。築30年前後には、分電盤や給排水管等も更新が必要になります。このような設備もスケジュールに組み込まれているかを確認します。
※国土交通省「マンション管理標準指針」参照

●大規模修繕に必要な金額が積み立てられているか?
→比較的小規模のマンション(30戸~40戸程度)でも1回目の大規模修繕にかかる費用は、5,000万円ほどと考えておくといいと思います。同じマンションでも、2回目の大規模修繕ではもっと高くなりますし、建物の形状が凝った意匠だったりすると、それも高くなる要因になります。先々の修繕を見越して、十分な修繕費が積み立てられているのか、金額もチェックする必要があります。

等が長期修繕計画のチェックポイントとなります。

管理会社の評価

管理会社の評価は、施工会社の評価と同じく難しいです。他のマンションでは評判のいい管理会社でも、管理人の素行によって評判はひっくり返りますし。管理は、結構、属人的な面が大きいです。なので、内見のときなどは、管理人に話しかけて人柄を見るといいでしょう。

また、管理会社には、主に「デベロッパー系列の管理会社」と「独立系の管理会社」があります。それぞれのプラス面及びマイナス面を把握しながら、住民間でどういう管理を望んでいるのかをまとめた上で管理会社を選定するといいでしょう。

新築分譲時に管理会社となっているデベロッパー系列の管理会社は、問題があるところは少ないですが、管理費が高くなりがちです。修繕などの工事も管理会社に任せっぱなしにすると、高くなることが多いです。いわゆる高級路線といっていいと思います。高い費用を取る代わりに、マイナスは少なく、高級マンションにお勧めの管理会社です。

独立系の管理会社は、管理費を安く抑えてくれることが多いです。これは、リプレイス(管理会社の交代)を持ち掛ける営業で契約を取るためでもあります。ただ、そのため、安かろう悪かろうの会社もちらほら見受けられます。管理費を安くした分、修繕費などを高くとろうとする傾向も見受けられます。管理組合がしっかりと機能し、管理会社をコントロールできる自信のあるマンションは、独立系にリプレイスすることをお勧めします。

≪修繕費≫
修繕費は管理会社の重要な収入源です。なので、すべての管理会社が自分たちを通して発注してほしいと考えています。修繕費について、相みつを取り、管理会社を通さず直接別の会社に発注したら、管理契約の解除を求められた、なんて話も聞きます。でも、やはり相みつを取るのが原則だと思います。こういう建物に関する費用は、非常に分かりにくいので、複数の業者から見積もりを取り、その金額だけでなく、修繕の内容なども見比べ、余計な工事が含まれていないか、割高な工事が混じっていないか、比較することで分かることもあると思います。

工事内容を把握した上で交渉し、管理会社を通しての割高感が薄まれば、管理会社を通して発注してもいいですしね。

管理会社の評価は難しいですが、1回目の大規模修繕工事が終わっても、デベロッパー系列の管理会社のままであるマンションは、管理組合が機能しているのかの確認が必要だと思っています。きちんと議論した上で、高級路線を採用し、このままいこうとなっているのなら問題ないですが、管理会社の仕事ぶりに対して、何の議論もしていない管理組合は、管理会社のカモにされる可能性があります。

管理会社は、必ずしも居住者(管理組合)の味方ではなく、自分たちの利益の最大化を目論んでいる存在であることを念頭に置いていただきたいと思います。

結論

「資産性」を求めるならば、管理は非常に重要です。曙橋にある1981年竣工(旧耐震)のマンションは、耐震診断をした上で耐震補強工事を済ませ、管理の劣る新耐震のマンションよりお勧めできるくらいです。耐震補強工事を済ませた分譲マンションというのは、都内でも非常に珍しい事例となっています。

このマンションは、修繕工事も計画的に行っていて、外観や廊下などは築浅の建物と遜色ありません。管理組合がしっかりしていると、こんなにもちゃんと建物が維持できるのだな、といつも感心しています。

築年が古くても耐震補強工事を済ませた建物と、あまり管理が行き届いておらず外壁のコンクリートから赤錆が滲み出ている建物では、「資産性」について比較する気にもなりません。

購入したからには、ご自身がオーナー(管理組合の一員)としてその建物の管理・維持に責任を持つことになりますので、是非、管理組合を盛り上げて、良いマンションを増やしていただければと思っております。