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「良い不動産屋」の見分け方

不動産選びに失敗しないコツは、「良い不動産屋」を見付けること、と書いてあるのをよく見ます。
でも、その具体的な方法は、大体の場合、「信用できるか見抜け」のようなものだったりします。
具体的に、「良い不動産屋」はこういうことをする、というものはないのでしょうか。

悪い不動産屋

逆に「悪い不動産屋」は、どんなことをする不動産屋でしょうか?
勿論、対象物件の良いところしか言わず、マイナスなことは聞かれないと黙っている業者ですね。でも、わざと、さほど大きくないマイナスを言うことで信用させる業者もいます。

私が考える「良い不動産屋」とは、そもそもお客様を騙す要素を潰している業者だと思います。
『お客様を騙す要素』には、

業者の売りたい物件に誘導
マイナス部分を説明しない

という大きく2つの要素があると思います。

業者の売りたい物件に誘導

できる不動産営業マンは、「見せ物件」→「ボロ物件」→「決め物件」というストーリーを作って、お客様をご案内するんだそうです。
でも、不動産鑑定士としてマーケットに出ている物件を見たときに、本当に『良い物件』と思えるものは少ないです。お客様がその3件の情報をお伝えした際に、「3件とも気に入った!」とおっしゃったのであれば、3件をご案内するのはアリですが、なかなか同時期に3件もないですけどね、「これ、いいな!」と思える物件は。

そもそも、お客様から希望条件を伺って、REINS(業者ネットワーク)で調べた結果をすべて見せる業者が少ないのは何故なのでしょうか?
大抵の場合、お客様から希望条件を伺った後、業者から提案という形で「これなんかどうでしょうかね?」と図面を見せられますよね。

不動産屋は信用できないという割には、希望条件を伝えた後は、業者からの提案を鵜呑みにしてしまう方は結構多いという印象があります。

不動産の専門家」に何を期待しますか?という質問にもなるのですが、ポータルサイト等に物件情報が溢れている現在、専門家として、何が必要だと思いますか?
それは「物件探し」より、「物件評価」の能力だと思います。不動産って、売買のマーケットがある商品の中でも、業者と一般消費者の情報格差が一番大きいと言われていますよね。
その情報格差をきちんと埋めてくれる専門家、つまり物件について、何がリスクで、どこがマイナスとなり得るのか、詳しく説明できるスキルが必要とされているのだと思っています。

「業者の売りたい物件に誘導」されないためには、どうしたらいいのでしょうか?
REINSの検索結果を見せてもらう。
希望条件をREINSに入力して検索した結果を見せてもらいましょう。これにより、業者ネットワークに掲載されている(中で条件に合致する)物件の全てが把握できるので、その一つ一つについて、なぜそれがお勧めでないのか、なぜこれがお勧めなのか、を説明してもらいましょう。
それにより、恣意的な物件のお勧めは難しくなります。

ポータルサイトで調べた物件を評価してもらう。
ポータルサイト等で調べた物件の評価を、そこに掲載されている業者ではなく、他の業者にも聞いてみるといいと思います。そこできちんと納得のできるマイナス面を説明できる業者が『味方』とするべき業者なのだと思います。
REINS検索結果を見せてもらう際と同様、ポータルサイト等で調べて選んだのは自分なので、業者の恣意的な物件のお勧めは難しくなります。

以上の2つの方法を嫌がらずに認めてくれる業者は悪い業者ではないと思います。
また、「未公開物件」というのを餌にして、登録を迫ったり来店を促したりする業者もいます。このご時世で情報を囲い込もうとする姿勢自体が、あまりいい業者であるという印象を抱かせませんね。

マイナス部分を説明しない

本来、「マイナス部分を説明しない」というのは問題外なのですが、業者の中には「聞かれなければ答えなくてもいい」と営業に指導しているところもあるようです。
でも、物件の情報を見ても、どんなマイナスに気を付けなくてはいけないのか分からない方も多いと思いますので、ポイントを挙げます。

立地
物件の立地は「高台の平坦地」がベストです。谷地や低地、擁壁のある造成地等は、地盤が良くない可能性が高いです。谷地や低地は、水害のリスクもあります。大地震や豪雨等で、毎年のように「想定外」の事態が生じる昨今なので、リスクの少ない立地を選んでいただきたいものです。
建物
旧耐震(1981年以前に竣工した建物)や形状が極端に縦に細長い建物等は、大地震等の際に倒壊や損傷のリスクが高くなります。
→ただ、建物は、実際に見ないと分かりませんし、実際に見ても分からないことも多いです。一級建築士でも、外側がきれいになっていたら分からない、と言いますので、難しいところではあります。
嫌悪施設
幹線道路沿い、墓ビュー、ガソリンスタンド隣接等の条件に当てはまる場合、そのこと自体を正直に伝えてくれるかどうかという点と共に、その条件のリスクについての説明も必要となります。「何がリスクなのか?」ということですね。リスクがない物件と比較すると、多少安くなっていることが多いので、リスクと金額が見合えば、悪くない物件になります。
住環境
治安の悪いエリア。繁華街に近いなど、喧騒のある場所。これらも、特にファミリーで住む場合、避けた方がいいでしょう。“”は、根本的に家族の『命』と『財産』を守るものであると思うので。

これらのリスク(マイナス要素)がある物件は、将来資産性が落ちる可能性があります。売りに出す際、リスク(マイナス要素)がない物件と競合した場合に負けるからです。
逆にいえば、現在も、リスク(マイナス要素)がある物件は、それがない(少ない)物件よりも価格が安くないといけません。
その価格幅が、リスク(マイナス要素)に見合う額であれば、納得する方がいてもいいと思います。

なので、物件を紹介された場合に、その担当者に訪ねてください。
「その物件の地盤はどんな状態?」
「建物の耐震性は?」
「近所に嫌悪施設はない? あれば、それはどんなリスクがある?」
「住環境はどう?」
これらの質問に納得のいく説明ができる担当者は、『味方』と考えてもいいと思います。

ワンストップサービス

意外に陥りがちなのが、何でもやってくれる業者です。
住宅ローンの支払いシミュレーションまでやってくれる!って良い業者なのでしょうか?
私だったら、売ろうとしている人にファイナンシャルプランを立てて欲しいとは思わないですが。
「ファイナンシャルプラン」を望むなら、第三者の立場であるファイナンシャルプランナーに依頼するのが一番です。

保険も引っ越しも、業者任せでもいいですよ。でも、そこではほとんどマージンが業者の懐に入っていることも了承して頂きたいです。
高サービス・高価格ですね。面倒くさいからやっておいて、と納得しての依頼なら問題ないです。

ただ、それをやってくれるかどうかはいい業者かどうかとは関係ないです。関連業務を囲い込んで収入を増やそうと考えているだけかもしれません。
不動産屋の専門家としての役割は、上述の通り、一般消費者では見抜けない、もしくは見落としがちな物件のリスクを説明することです。「餅は餅屋」という意味で、不動産屋の専門は、あくまで物件の評価の筈です。

結論

良い不動産屋」の判別方法は、誠実な性格をしている人を見抜くこと、ではなく、物件を評価し、客観的に良いと思える物件しか勧めないという騙すことのできない方法をとっているかどうか、ではないでしょうか。
人を見抜くのは難しいですが、やっている具体的な方法を評価するのは、まだ簡単だと思います。