不動産売買契約サポート記事

重要事項説明書の簡単解説! 04

重要事項説明書』のチェックポイントを解説するシリーズの第四弾です。

重要事項説明書をチェックする際の注目点

区分マンション向け「重要事項説明書」のチェックポイント(続き)です。(公社)全日本不動産協会が提供している区分所有建物の取引に係る重要事項説明書のテンプレートを基にしています。今回は、「Ⅰ 対象となる宅地または建物に直接関係する事項」の残りを片付けたいと思います。
※ 戸建て、土地の場合は、必要な条項等が格段に増えますので、別途ご相談ください。

建物状況調査の結果の概要
「建物状況調査(インスペクション)」とは、構造耐力上の安全性や雨漏り・水漏れ等の観点からその建物の状態を確認する調査のことです。

[中古マンションの取引にインスペクションは必要か?]
インスペクションの対象となるのは、
構造耐力上の安全性:基礎の鉄筋の有無、外壁のひび割れ、シロアリ被害等
雨漏り・水漏れ:外壁、屋根など雨水の浸入を防止する部分の劣化・不具合
等です。内装や配管などは対象外なので、中古マンションの取引の際にはあまり関係がありません。

中古マンションの取引で「インスペクション済み!」と自慢気に謳っている広告を見掛けることがありますが、古いマンションの取引の場合、インスペクションよりも配管の状態を確認する方が重要だと思います。構造耐力上の問題や雨漏り等の問題は、マンションの場合、躯体や屋根などの共用部分に関する話になるので、個人で対応するのではなく、管理組合として対応するレベルのトラブルです。内容をよく知らないと、広告に釣られて「おぉ~、良い物件だ!」と飛び付いてしまいそうです。

ただ、専有部分の配管や天井のカビなども調査の範囲に加えてくれている場合には有効です。「インスペクション済み!」の物件の場合、専有部分の配管なども調査してくれているかどうか確認しましょう。

建物の建築および維持保全の状況に関する書類の保存の状況・ 地震に対する安全性に関する書類
ここは、建物の状況を把握するための書類があるのかないのかを明示するためのチェックリストです。

建築確認

家を新築する前にその計画されている建物や地盤が建築基準法に適合しているかどうかを事前に確認することになっています。すぐに倒壊しそうな危険な建物や周辺に迷惑をかけるような建物が建設されるのを防ぐための施策です。その建築確認申請をする際には、建ぺい率や容積率、斜線規制などの用途制限を順守している旨、シックハウス対策や採光を確保している旨などを書類にまとめて提出します。

なので、その書類があれば、この建物は建築基準法に合致したものであるといえる訳です。「建築確認済証」というのは、申請書類に不備はなかったというお墨付きです。

検査済証

家が設計通りに新築され、完成すると完了審査を受けます。そこで問題がなければ「検査済証」が交付されることになります。出来上がった建物が建築基準法に適合しているというお墨付きです。

増改築

増改築を行う際も、建築確認申請→諸々→検査済証という流れが必要となります。その増改築が違法ではないことを証明するための書類です。

建物状況調査

一つ上の項目で内容に触れましたが、その調査書があるかどうかのチェックリストです。

既存住宅性能評価

「既存住宅性能評価」はインスペクションに近いのですが、既存住宅について、全国共通の通信簿を貰うようなイメージです。インスペクションが、個別の評価なのに対し、全国の性能評価を受けた建物と同じ項目で評価を受けることになります。

これを受けているマンションはほとんどありません。この「既存住宅性能評価」により、劣化状況が白日の下にさらされるケースもあり、これを受けているマンションが必ずしも高く評価される訳ではないためです。

ただ、自分たちの建物の現状をキチンと調査しようと同意を取れる管理組合というのは、非常に高く評価できると思います。

建築基準法第12条の規定による定期調査報告の対象である住宅

東京都では、階数5階以上かつ床面積の合計が1,000㎡を超える共同住宅は、この定期調査報告を求められる特殊建築物に該当します。該当すると、定期的な検査(年1回のものと3年に1回のものがある)をして、その結果を所轄の特定行政庁に報告しなければなりません。

この調査報告書を見れば、当該マンションの設備の点検状況や安全対策、躯体や塀などの劣化状況などを把握することができます。

旧耐震

上述した「建築確認済証」が、昭和56年(1981年)6月1日以降に発行されている建物は“新耐震”となります。それ以前の建物は“旧耐震”ということで、地震の強い揺れに対しての対策が取られていることが確認できない建物となります。原則、旧耐震の建物に手を出してはいけません。

ただ、旧耐震でも、耐震改修工事を実施し「耐震基準適合証明書」を取得している建物であれば、地震の際の倒壊リスクが低いだけでなく、住宅ローン減税を受けることができたり、登録免許税や不動産取得税などの減免も受けられます。

「耐震基準適合証明書」を取得している旧耐震時代の建物は、築年だけで安く評価されていることが多いので狙い目かもしれません。

建築確認・検査済証の交付年月日・番号等

上述した内容の書類がある場合、その交付番号等が記載される欄です。

造成宅地防災区域・土砂災害警戒区域・津波災害警戒区域

以前の記事「重要事項説明書の簡単解説! 02」の中の「法令に基づく制限」で触れているので省略します。

25.宅地造成等規制法
41.土砂災害防止対策推進法
37.津波防災地域づくり法

石綿(アスベスト)使用調査の内容

アスベストというと古い建物というイメージがあると思いますが、実は2006年以前の建物だとアスベストが含まれた建材を使用している可能性が否定できません。2006年にアスベストの含有基準が厳しくなり、それ以前は認められていたごく少量のアスベストも禁止となったためです。

1975年以前は、夢の素材だと思われていて、建材に大量に使用されていたので、この点からもあまり古い建物はお勧めできません。日本でアスベストの使用等が厳しく規制された1995年以降の建物なら、アスベストを大量に使用しているということは考えにくくなっています。

ただ、アスベスト建材が使用されている建物でも、居住する分には特段問題はないと言われています。普通に生活している分にはアスベストは飛散しない可能性が高いので。将来、建物の解体等をするときの工事費が非常に高額になる可能性があるというリスクと捉えていただければ。

耐震診断の内容

耐震診断をしたかどうかを説明するための欄です。ただ、ここではいわゆる“旧耐震”の建物の場合に説明すべきとされています。

しかし、“新耐震”でも、地盤が悪い場所に建つ縦に細長い形状の建物(ペンシルビル)などは、築15年~20年経過してから耐震診断をすると、多くの場合「耐震改修(補強)工事を要する」という診断が出されるという話を聞いたことがあります。

“新耐震”ならフリーパスという考えには同意しかねます。建物の形状や、その建物が存する土地の地盤などによっては、“新耐震”の建物でも「耐震診断」を促した方がいいと思っています。

住宅性能評価を受けた新築住宅である場合

ここも疑問の残る欄です。「新築住宅」の場合に、性能評価書の有無を記すことになっていますが、新築分譲時に性能評価書を取っていたマンションを、例えば築後15年経ってから購入する場合でもその「性能評価書」は充分参考となる資料であり、存在する場合には絶対に入手したいものです。

ここの欄は、「性能評価書」の有無をチェックし、それから、新築時の「設計」「建設」なのか、築年が経ってから取得した「既存」なのかのチェックを入れるようにして欲しいです。

築年が経ってから新築時の性能評価書を貰っても意味がないという人はいないと思うのですが。売ろうとする業者側からは、新築時の性能を保っていると誤解されると嫌だから交付したくないという意見が出るのは分かりますが。→ それは、きちんと重要事項“説明”すれば済むと思います。

以上で、重要事項説明書の前半部分である「Ⅰ 対象となる宅地または建物に直接関係する事項」は終了となります。後半部分である「Ⅱ 取引条件に関する事項」は契約書に記載された内容と被る部分が多いので、契約書では説明しきれなかったことや契約書になかった項目等を補足する内容でお届けしたいと思います。