不動産売買契約サポート記事

不動産売買契約書は、追加された条項等に注意!02(ひな型を見ながら解説)

前の記事で中古区分マンションの取引に係る不動産売買契約書の「表紙(表題部)」を簡単に解説しました。
今回は、契約書の本文について見ていきますが、引き続き「標準的な契約書」と「個別の契約書」と比較するポイントとしては、以下の3点について注目してください。

標準的な契約書にあって、個別の契約書にない条項等
個別の契約書にあって、標準的な契約書にない条項等
標準的な契約書と同じに見えて、文言が異なっている条項等

これらの“間違い探し”をしながら契約書をチェックしましょう。

不動産売買契約書(本文の前編)

【解説】
第1条は、「この物件をこの金額で売買します。」という確認です。この契約書は、何を目的としたものなのかを最初に明示しています。

【解説】
「手付金」についての取り決めです。手付金とは「この物件を購入するという意思を翻すことはありません」という意思表明です。なので、自己都合で購入の意思を翻すと、手付金は没収となります。

売主の方も、手付金を受け取ったら、もう他の人にこの物件を譲ってはいけません。やっぱり別の人に譲る、なんて勝手に売却の意思を翻すと手付金の倍返しをしなくてはなりません。(ただ手付金を返すだけでは、売主のペナルティになりませんからね)
#ここでは一般的な「解約手付」について書いています。

手付金の相場は、売買価格の5%~10%です。感覚的には5%が多いと思いますが、その物件をすごく気に入り、他でも狙っている人がいるかもと不安を覚えるようなら10%以上払ってしまうのもありだと思います(予算が許せば)。手付金が高ければ、それだけ自己都合で解約した場合のペナルティが大きくなるので、契約の履行を強く促せます。

【解説】
これも、単にスケジュールの確認です。購入を依頼した仲介業者や住宅ローンを組む金融機関とよく相談して、表題部に記載する支払日を決めましょう。

【解説】
区分マンションの場合、購入した後に改めて部屋面積を測量したりしないので、あまり意味のない条文です。
まぁ、一棟の敷地に関して、規約敷地を増減させたり、測量をやり直したら面積が少し変わったということはあるかもしれません。

【解説】
代金を全部払ったら所有権を移転します、という至極当たり前のことが書かれています。

【解説】
第3条の残代金支払日と同じ日になります。

【解説】《ここ重要!》
これは買主にとっては入れておいてもらわないといけない条文です。通常、この条文がない契約書はあり得ないですが、念のため確認しましょう。

前回、「物件の確定」と「売主の確認」のために登記記録を見ましょうと書きましたが、この条文の通り、購入後の所有権を阻害するような権利が登記されていないかどうかの確認も非常に大切なことです。

登記記録を取った段階で売主の抵当権が残っているのは仕方がないですが、その他の権利が登記されていたら、売主(側業者)に「それは何か」を確認するとともに、それが所有権を阻害するものであれば、引渡日までに抹消してもらうよう要求しましょう。所有権を阻害する権利が抹消されずに残っている物件を、そのまま購入してはいけません。

【解説】
 所有権移転登記に係る登記費用は買主の負担ですよ、という内容です。所有権移転登記は必ず即日にやらなくてはなりません。でないと、二重譲渡のトラブルに巻き込まれる可能性が(稀にですが)出てきてしまいます。そして、その主なリスクは、買った筈なのに所有権を主張できなくなる可能性のある買主側が負います。勿論、売主を詐欺的な行為をしたとして追及できますが、代金が戻ってくるかどうかは分かりません(売主が破産してしまうことだってあり得ますし)。

[少し横に逸れた話]
なので、買主が登記費用を負担した上で、銀行お抱えの司法書士の先生を使わなくていい場合には、買主側が司法書士を用意するのが原則です。先にも触れたように、登記がなされないことに対するリスクは買主の方が大きいので。また、売主の本人確認をしっかりやってもらうという意味でも、司法書士は買主側の先生を使うよう交渉しましょう。

第2項但し書では、例えば、売主の現住所が登記記録記載の住所と異なっている場合、「住所変更登記」が済んでいないと所有権移転登記ができないので、売主は住所変更登記をする必要があります。ただ、それは売主の問題なので、その登記費用は売主が負担してね、という話です。

【解説】
 この条文も、ほとんど起きないレアケースを想定した場合のものなのですが、重要です。

この契約を交わした日から引渡日までの間に、例えば、大地震が発生してマンションの建物自体が傾いてしまった場合、「契約したんだから、残金払え!」と言われたら困りますよね。

大地震の場合のようにマンションが住める状態でなくなった場合には、契約解除となり、手付金も買主に返還する旨、定められています。

[少し横に逸れた話]
これ全壊だったら、いっそ清々しいですが、修繕できるレベルだと却ってトラブルになりますよね。例えば、売買対象だったマンションの1階の部屋が台風等の豪雨で床上浸水してしまった場合、躯体などの主要構造部には何の影響もないので内装だけ張り替えます、と言われても嫌じゃありません?

このようなトラブルだって滅多にないことでしょうけれど考え得るリスクではあるので、そもそも低地や谷地の物件は購入対象とするのをやめておきましょう、ということです。

【解説】
 この条文がなくても「物件状況報告書(告知書)」は買主に交付されるべきものですが、この条文があれば、交付して説明することを強く求めることができます。

【解説】
 諸費用の分担の取り決めです。基本は、引渡完了日以降は買主の負担ということです。これは納得感ありますよね。その日から買主のものになったのだから、買主が払え、と。

それと、管理費等に滞納があった場合の取り決めも付記されています。滞納がある場合には、その額を売買代金額から控除していいということです。そして、その控除した分の滞納額は、買主の方で管理組合に支払ってください、ということです。なので、買主からしたら、安くなる訳ではない上に、他人(売主)が滞納したのに管理組合に「滞納分です」と払わないといけない手間が増える訳です。

【解説】《ここ重要!》
 ここは何かあった場合に一番トラブルになる部分であり、2020年の4月1日施行の改正された民法でも変更があったポイントです。瑕疵担保責任という欠陥があったら対応するという考え方から、契約不適合責任という「契約での取り決めと異なるから責任を取る」という考え方に変わりました。

この条文は、建物に欠陥があった場合にどのような対応が可能かを定めたものです。この中で一番重要なのは“引渡完了日から3ヶ月以内”と期限が定められていることです。売主が個人で買主も個人というケースですと、大抵このくらいの期限になっていると思います。

また、「次に該当する場合」で「(1)シロアリの害 (2)給排水管の故障」のみ挙げられています。引渡しの前のトラブルで多いのが、契約が済み、いざ住む前に再度家具スペース等の寸法を測りたい等の理由で物件の中を確認した際に小さな不具合を見付けた場合です。

「床に少し浮きが見られる」「トイレのドアを開くとギィッと音がする」等の不具合を見付けた買主さんは、この不具合を直してくれ!と主張することがあります。ただ、売買の対象となっているのは『中古』のマンションですからね。新築ではないのだから、多少の不具合はあるのが普通です。そして、それはリフォーム等で対応することになります。

どうしても小さな不具合も許せないという場合には、契約の前に室内を細かくチェックしなければなりません。そして、契約の際に見付けた不具合の分を安くしてくれ等の交渉を行いましょう。

『中古』を買うということはそんなもんだ、という割り切りも必要です。

[少し横に逸れた話]
契約不適合の対象となっている「給排水管の故障」ですが、給排水管が古くなっていたとしても3ヶ月くらいなら故障などしないで使える可能性の方が高いですよね。で、それから数ヶ月経過したら排水管から水漏れがあって、階下の住民に迷惑をかけた、なんてことがあり得ます。

なので、築古物件の場合には、購入の際に管理組合に「給排水管のトラブルは他の住戸で起きていないですか?」と質問するべきでしょう。また、最近流行のリノベーション・マンションの場合は、給排水管の更新が済んでいるかどうか必ず確認しましょう。昨今、不動産協会に入ってくるクレームで一番くらいに多いのは、リノベーション・マンションの給排水管トラブルだそうです。

少し長くなってしまったので、第13条以降は別稿にします。