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不動産価格への影響が最も大きい交通利便性の要注意ポイント

不動産価格において、交通利便性(都心への接近性及びアクセスの良さ)が与える影響には絶大なものがあります。

国土交通省が一般の土地の取引価格の指標とするべく、不動産鑑定士に算定させている公示価格に「東京圏の沿線別駅周辺商業地の公示価格例」という分かりやすい図があるのでご紹介します。
これを見ると、「銀座 57,200,000円/m2」「新宿 36,000,000円/m2」と都心部では、わずか1メートル四方の土地でマンションが買えそうな価格となっているのに対し、「吉祥寺 6,330,000円/m2」「自由が丘 4,870,000円/m2」と人気の街でも都心部から少し離れるとガクンと価格が下がります。
※吉祥寺や自由が丘が安いと言いたい訳ではなく、あくまで比較としてであることをご了承ください。

では、都心のど真ん中や都心にできるだけ近い方がいいのかというと、それだけで住む場所を決めるのは早計です。この件は、以前書いた記事「住居は駅に近ければ近い方がいいのか?」で指摘しました。都心部うんぬんではなく、駅から近ければいいのか、という話ですが、内容はここでの話にも通じます。都心のど真ん中や都心にいくら近くても(利便性が高くても)、「生活環境」や「災害リスク」の観点から住むのには適さない土地があるということです。

自宅を購入する際に、一番に優先すべきなのは「家族の命と財産が守れるか」ということです。利便性は、その次に考えるべきことです。そのことを念頭に置いていただいた上で、交通利便性について述べたいと思います。

都心からの時間距離

上述したように、都心部の不動産価格が一番高く、都心部から離れるに従い、価格は下がっていきます。これは説明するまでもないですが、「時間価値」と「総合的な利便性」によるものでしょう。

時間価値
運動神経や芸術センス等、人にはいろいろ個性がありますが、“時間”だけは全人類平等に同じだけ使えます。この大変貴重な“時間”を、通勤電車で使いたくないと思う方が増えていると感じています。

職住近接を求めて都心部に人口が流入しているのも、無駄な時間を減らしたいからという面もあるでしょう。

総合的な利便性
通勤だけでなく、買い物や遊びに行く、飲みに行くという点でも都心部に近い方が便利です。終電も遅くまでありますし、終電を逃してもタクシーでさほど大きな運賃を払わないで済みます。

子供が思いっきり身体を動かして遊べるような場所は少ないですが、様々な刺激的な施設があります。また、東京の路線図を見ても、都心部から放射線状に線路が延びているので、都心部の近くに住んでいれば、どこに行くにも便利です。

また、職住近接については、通勤時間の短縮という理由以外にも、東日本大震災以降、中学・高校や大学に通う子供が家まで歩いて帰れるかが心配だ、という声が高まりました。リスクヘッジの一つとして、家族が勤務先や通学先から歩いて帰れる場所を選ぶという考え方です。

この「都心からの時間距離」を評価する場合、山手線の内側及び山手線の駅徒歩圏であれば、基本的に最高ランクでいいと思います。

駅からの徒歩距離(時間)

不動産業界では、駅徒歩〇分は、道路距離80mを1分と換算しているというのは有名な話なのでご存じの方も多いと思います。最近では、「駅徒歩7分以内でなければ、資産価値を維持できない。」などという話もされていますよね。

これも、一律で駅徒歩7分を越えたから「マイナス」とは言えないと思っています。商業施設が近ければ、駅前よりも却って利便性は高いのではという場所もありますし。その場所の特性を見てから決めないといけないことだと思っています。

都心部なら、地下鉄が2本・3本と使える場所も多いので、徒歩距離はほとんど考慮しません。たまに、どの駅にも10分以上かかるという場所がありますが、その場合のみ、多少のマイナスを付けます。

とはいえ、基本的には、駅から近い方がプラス評価なのは間違いがありません。

複数の路線を使用できるか否か

電車は、たまに運行停止になるものです。強風が吹いているからと止まる場合もあれば、強風で枝が架線に引っ掛かったからという理由の場合もあります。信号トラブルや、人身事故等様々な原因で、運行がストップします。

そういう状況になっても、家に帰れる(会社に行ける)という代替手段を持てる場所はプラス評価です。

急行等の停車駅か否か

これは「都心からの時間距離」に含めてもいい要素なのですが、最近は、この要素も少し比重が高くなったかなと感じているので、別項目にしました。

基本的に、山手線の内側の場合はこの要素は考慮しません。東急や西武等の放射状に延びる路線でプラス評価する要素です。

主要道路へのアクセス性

「電車での都心への接近性」が一番価格に影響を与える要素です。ただ、都心からは少し離れていても、駅からも少し離れていても、環七や環八、甲州街道や中山道、246等の幹線道路へのアクセスに優れる場所であれば、その点をプラス評価します。

幹線道路沿いだと、別のマイナス面が生じてしまいますが。

結論

「交通利便性」は、繰り返しますが、不動産価格に与える影響が最も大きい要素です。また、現在、この利便性を求める機運が高まり、昔よりもこの要素の重要性は高まっていると感じています。

ただ、利便性が高いからといって、埋め立て地や海抜0メートル地帯に住むというのは、あまりお勧めしません。既に住んでいる方のことをとやかく言うつもりはないですが、これから新たに住む場所を決めるのに、というか、決めることができるのに、わざわざ災害リスクが高そうな場所を選ぶことはないと思っています。

また、先にも触れましたが、住居を選ぶときは「家族の命と財産を守ること」を第一義とするべきです。「利便性」というのは、優先順位が下です。いくら利便性が高くて、住みたい場所を見付けたとしても、予算的にそのエリアでは低地や谷地の物件しかないという場合は、少し遠ざかる決断をしてください。少し利便性は劣っても、高台の安心な立地を選んでください。

利便性に惑わされず、不動産を選ぶときに本来考えなくてはいけないことを大切にして、良い物件を選んでいただきたいと願っています。